日本ハム栗山英樹監督(53)が29日、来季も「条件付き」で指揮を執ることを正式に表明した。球団は1年契約で合意したと発表。惜敗した楽天戦後に記者会見に臨み今季、下位低迷した場合には白紙撤回する考えも示唆。辞任も視野の悲壮な決意も秘めて申し入れを受諾、異例の続投へと踏み切った。

 タイミングだけではなく、覚悟も異例だった。通例は、晴れ晴れする続投会見だが沈痛だった。栗山監督は時折、笑みを浮かべたが硬かった。最下位からの巻き返し、2年ぶりV奪回を目指す今季は現状3位も、首位オリックスに9ゲーム差。自問自答しながらも球団からのオファーを受け入れたが「条件付き」だった。辞任を視野に入れた上での結論だった。

 栗山監督

 ただ(契約を)延長されただけで、やるかは分からない。ダメだったら辞めるというのはある。

 小林オーナーから続投要請されたのは21日。マツダスタジアムでの広島戦だった。今季が2年契約最終年で就任3年目。「8月、9月とかに(周囲が)バタバタし出す」と読んだ。勝負どころのシーズン終盤で自身の進退問題がクローズアップされるのは必至。雑音でチームの和が揺らぐことを避ける狙いが、早期決着のポイントの1つだった。

 栗山監督

 やり残したことが、このチームにはまだいっぱいある。見ていて、楽しくなるような選手、チームを。

 複数年契約を打診されたが断り、15年限りの単年でと譲らなかった。二刀流の大谷ら若手育成の使命もある。「責任は日増しに重くなっていく」。一戦必勝の誓いは解くことなく今季から来季へと、道を切り開いていく。【高山通史】