恩人に投げ勝つ!

 広島ドラフト1位の大瀬良大地投手(22)が今日1日、2・5ゲーム差で追う首位巨人との3連戦初戦(マツダスタジアム)に先発する。相手先発の菅野は大学時代に調整法などを教わった“先生”。憧れの先輩に成長した姿を披露し、首位攻防戦で先手を取る。

 薄暗いマツダスタジアムの駐車場。大瀬良は菅野との投げ合いに話題が及ぶと、笑みを浮かべた。2歳上の先輩とは大学2年時の初夏、日米大学野球の代表で同じ釜の飯を食べた仲だ。

 「すごいな、少しでも近づけたらいいなと思っていた。人間的にもいい方で、いろんな意味で目標にしていました。とにかくボールが速くて、変化球すべてで三振を取れる。もう、僕とは別人すぎて…。ああいう投手になりたいと思って残り2年間を過ごした。成長させてくれた方です」

 当時は実際にカーブの投げ方や調整法に関するアドバイスも送られた。「カーブを投げた後に真っすぐを投げる調整法です。カーブは体全体を使い、腕を高く、肘をしならせないと曲がらない。その投げ方のままストレートを投げれば、よく走るようになると教わりました」。投手大瀬良の基礎をつくってくれた恩人との投げ合い。今日1日の巨人戦は特別な一戦となる。

 ここ3試合は計11回0/3を17失点と精彩を欠くが、肩が開く悪い癖は修正。「真っすぐの走りが前よりいいし、キャッチボールの球筋も違う」と力強い。2・5ゲーム差で追う王者との首位攻防3連戦初戦。「変に気負わずに行きたい。すごい投手が相手ですけど、自分の投球に集中するだけです」と自然体で臨む。

 巨人戦は前回5月16日に8回2失点で白星を挙げ、今季計2試合で1勝1敗、防御率3・00。計4発を食らっているが、悪いイメージはない。「走者を出しても粘り強く最少失点で投げていきたい」。強力打線と球界屈指の右腕を相手に、潜在能力を100%出し切る覚悟だ。【佐井陽介】

 ◆今後の先発ローテ

 巨人3連戦は大瀬良、九里、前田。4日からのヤクルト3連戦はバリントン、戸田、野村の並びが濃厚だ。バリントンは4戦連続で早期降板中。2軍投手陣との比較でもう1度チャンスを与えられるが、背水マウンドとなる。中継ぎ調整していた戸田は谷間の先発で「第6の男」昇格を狙う。