<DeNA2-3阪神>◇4日◇静岡

 よっ日本一!

 そろそろ神様の称号、継いじゃうか。大詰め8回に和田監督が打った勝負手がはまった。1死満塁で相手が左腕に代わると福留への代打で関本賢太郎内野手(35)を送る。仕事人は追い込まれてからの5球目をしぶとく右中間に決勝犠飛!

 世界遺産の富士山もびっくりの2カ月ぶり3連勝を運んできたのは、虎の背番号3だ~。

 貯金と借金の分岐点だった。同点の8回だ。1死二、三塁でマートンが敬遠された。勝ち越し機に、勝負強い福留だった。DeNAは左腕大原へスイッチした。左対左。4試合連続安打と上向きのベテランがベンチへ下がった。登場したのは、和田監督が「とっておき」と信頼する関本。「新代打の神様」に託した。

 関本

 感触は全くありませんでした。何も考えていません。必死のパッチでやるだけです。勝てたことが何より。

 くせ球に手を焼いた。外角へのシュート、内へ食い込むスライダーで1ボール2ストライクとなった。「センター中心にいったから良かった」。無我夢中で白球と向き合った。4球目、際どい外角球にバットは止まった。続く5球目は低めへ沈むシュート。見送ればボールの難しい球に食らい付いた。しぶとく右翼へすくい上げた十分な飛球。熟練の心構えと選球眼そして執念の決勝点だった。

 重責に勝った。福留が代打を送られるのは今季2度目。関本も「野手の時の代打は、また違う」と言う。併殺打なら無得点で攻撃が終わる場面。スタンバイしていた新井や西岡を差し置いての先陣だった。「プレッシャー」の声には「もちろん、もちろん」。責任を果たした笑みを浮かべながら、うなずいた。

 和田監督

 もう、あそこで勝負懸けなきゃね。(福留)孝介も決して悪くないんだけど、そこでいくための代打が控えているわけやから。(順番は)状況とか点差とか、いろいろあるんで。これは固定するものじゃなく、流れでいきたい。

 攻めのタクトだった。関本で勝ち越すと、2死一、三塁では新井を指名した。死球で再び満塁。今度は売り出し中のルーキー梅野に代えて、2試合欠場していた西岡を送った。3人で推定年俸総額4億5700万円、通算3682安打の豪華な代打攻勢だった。

 7月負けなしで手にした今季37勝目で、実に4月26日以来の3連勝となった。2カ月以上遠ざかっていた「3連勝」の響きに、指揮官は「あ~そう。なかったね、確かにね」と苦笑した。ちょっぴり借金生活も経験しながら、再び越えた勝率5割ライン。富士のふもとで執念をたぎらせ、猛虎が貯金街道を歩み始めた。【近間康隆】