日本ハム先発陣のエース格の武田勝投手(36)が中継ぎに配置転換されることが14日、分かった。球宴明けの後半戦から手薄な左のブルペン陣を整備するため、指名されたもようだ。一時的な救援登板を除けば、入団2年目の07年以来、7年ぶりのポジション。継投策が今季のチームの強みで、経験と実績十分のベテランが加わることでバリエーションが増える。逆襲の切り札として期待だ。

 日本ハムが前半戦残り2試合を残し、水面下で大胆に青写真を練り直した。武田勝を中継ぎの一角に配備する方向で最終調整に入った。13年に開幕投手を務め、先発で09年から4年連続2ケタ勝利と一時代を築いてきた左腕を、配置転換することで固まった。今季は9試合で2勝4敗、防御率7・30とやや精彩を欠いているが消極的ではなく、積極的な策。球団関係者は「大事な戦力として考えているので、動かした方が良いという狙い」と、首脳陣らの考えを明かした。

 苦しいチーム事情を救う救世主になる可能性が高い。武田勝は入団1年目の06年、2年目の翌07年途中まで主に中継ぎを専門としたスペシャリスト。その2年間はともに防御率2点台と圧倒的な安定感を見せ、日本一とリーグ連覇に貢献した立役者の1人。先発適性があることからもロング救援、左打者対策のワンポイントなど局面に応じ、投入可能なピースとして機能できる自在さを持つ。

 現在の中継ぎの左腕は宮西1人。ブルペン陣はクロッタとカーターらで右腕は充実しているが、やや偏っていただけに、武田勝が加わればメリットは十分にある。現状の先発ローテーションは左腕の吉川が後半戦で復帰する見込みで、ほか大谷と上沢、中村、浦野ら若手主体で編成。継投の事前準備が必須だけに、強力な手駒となり得る武田勝の存在は、ベンチワークの精神安定剤になりそうだ。プロ9年目、通算78勝の技巧派を適材適所で生かし、巻き返しの機運を高めていく。

 ◆日本ハムの中継ぎ左腕事情

 14日時点での出場選手登録は宮西1人。昨季51試合登板の石井は、6月13日に登録抹消され2軍調整中。今月11日に1軍昇格した乾も登板1試合で降格した。開幕1軍だったルーキー金平は4月9日に降格し、制球力向上を目指し2軍で調整している。