<日本ハム3-1西武>◇16日◇旭川

 日本ハム谷口雄也外野手(22)が、大谷の9勝目を好アシストした。1点リードの4回2死二、三塁、プロ4年目で初の三塁打を放ち、2点を加えて勝利を決定づけた。剛力彩芽似の「かわいすぎるスラッガー」として注目されたが、6月24日の1軍再昇格後は限られた出場機会でチームの勝利に貢献し、その実力を証明。ブレークの予感が漂ってきた。

 かわいすぎる笑顔が、はじけた。ベビーフェースの谷口が、男らしく両手を突き上げた。4回2死二、三塁。中堅左へ飛ばした打球が伸びた。プロ初の三塁打で、大きな2点を追加。「たくさんの、お客さんに来ていただいて、そこで打てたことは幸せなことだと思う」。2万人を超える旭川の日本ハムファンからの大歓声に、再びかわいすぎる笑顔が咲き乱れた。

 キュートなルックスとは対照的に、驚異的なスイングスピードを誇る。この日の適時三塁打は「風ですよ、風」と謙遜したが、それだけではない。2軍本拠地の千葉・鎌ケ谷で再調整に甘んじていた6月。全体練習後の室内練習場。SSK社が持ち込んだスイング速度測定器でフルスイングした。見守っていた周囲から「オ~ッ!」と歓声が上がった。「149キロ」を表示していた。

 スイングが速ければ、ボールも長く見られる。2月の春季キャンプ時にヤクルトのバレンティンが151キロ、DeNAのブランコが158キロをマークしている。ともにオフ明けで全開とは言えない時期の参考記録だが、その2人に迫る大台目前のスピードをたたき出した。怪力の外国人並みのパワーが、逆方向の打球が伸びる理由の1つだ。

 指揮官の期待にも応えたかった。「僕を信頼して使ってもらっている。結果を残すしかないんです」。1点を先制した直後の好機で追加点。栗山監督も「あそこの1点だけだと、(救援陣の)つなぎ方も難しくなる。よく打ってくれた」とたたえた。この日、9勝目を挙げた大谷が今季は野手ではDHとしての起用が主になっている。外野のレギュラー争いは後半戦もまだまだ続く。かわいすぎるスラッガーは「全力でやるしかない」。力強い目で、宣言した。【木下大輔】