聖地で何かが起こるかもしれない。今日18日に西武ドームでの第1戦で幕を開ける「マツダオールスターゲーム2014」で160キロ右腕の日本ハム大谷翔平投手(20)が明日19日の甲子園での2戦目に先発することが17日、決まった。2年連続出場の今回は昨年とは違い二刀流起用ではなく、投手で1試合1イニング限定の出番。全セ先発は高校時代からの盟友・阪神藤浪で、発奮材料あふれるだけに爆発に期待だ。08年にクルーン(巨人)がマークした161キロの球宴最速更新なるか、注目の大一番になる。

 歴史的な数字が、たたき出されるかもしれない。大谷に、夢の球宴らしい舞台が整えられた。明日19日の第2戦、甲子園で先発する。野球ファンが心躍る聖地で、自己最速160キロ超えへ。「(ファンは)すごいプレーを見に来ている。しっかりと、できることをやりたい」と決意した。ターゲットは、クルーンが08年に記録した球宴最速の161キロ。リミッターを振り切る好条件にあふれた。

 地の利もある。6月18日の交流戦の阪神戦。160キロを今季は4試合、甲子園では2球をマークした。花巻東時代は1度も勝てなかった聖地で大台のスピードを記録し、8回無失点で白星。苦い思い出も消し去った。いいイメージは残るが、本人は慎重だった。「中2日(で登板)ですし、どういう状態なのか分からないですけど、出来る範囲で頑張りたいです。そんなに(球速は)出ないと思います」。16日西武戦に先発して中2日だけに、ちょっと弱音が出た。

 心配を吹き飛ばす、発奮材料もある。相手先発は高校時代からしのぎを削る阪神藤浪。全セの巨人原監督や全パのロッテ伊東監督らが演出してくれた粋なマッチアップだ。「楽しみたいです。リーグも違うし、なかなか、やるチャンスはないので」。刺激的な投げ合いに加え、予定は1イニング限定。今回は野手出場を回避するため、底知れない破壊力を注ぎ込める。

 秘めたポテンシャルも引き出される魅力的な好敵手もそろう。球速が出やすい状況を問われると「(球場の)雰囲気とかは関係ないです。僕は対戦する打者とかなので」と即答した。相手打線の中軸には、いつも以上に力強さが増す。対戦を楽しみにする阿部や昨季のセ・リーグ本塁打王のバレンティンら。破壊力満点の相手に、殻を突き破る可能性は十分だ。

 今季は屋外球場で7試合に先発し、6勝0敗と好相性。開場90周年を迎えた甲子園で快投できるのも、交流戦で実証済みだ。「短いイニングなので、しっかり投げたいです」。大谷の剛腕がうなりをあげ、歴史をつくる準備は万端。1年に1度のスターの祭典で、プロ野球ファンに夢を届ける。【木下大輔】