<オールスターゲーム:全パ0-7全セ>◇第1戦◇18日◇西武ドーム

 エンターテイナーの心がうずいた。6回2死一、二塁。代打で打席に向かった日本ハム中田翔内野手(25)は、バットを高々と掲げた。「1打席だしね。喜ばせようと、それしかなかった。見せ場はあそこだけだから」。スタンドが沸いた、予告ホームラン。左膝や右太もも裏に痛みを抱え、出場は1打席に限られていた。“主役”になるため、ひそかにたくらんでいた。

 だが喜ぶファンとは対照的に、闘争心が燃えたぎったのが、マウンド上のDeNA井納だった。「予告ホームランを宣言していたので、すべて真っすぐでいこうと決めました。火が付きました」。怒りを込めた初球は、この日最速150キロ。続く146キロで追い込むと、最後も149キロと剛速球を続け、三ゴロに仕留めた。たった3球での返り討ち。台本があっけなく書き換えられた中田は「あれ150キロも出てたんだ!?」と絶句し、肩を落とした。

 やられたままでは終われない。今日19日甲子園での第2戦へ向け、「まだ何も考えてないけど…」と言いながら不敵な笑み。パフォーマンス第2弾を表情で予告し、「やっぱり打ちたいね」。最後はバットで盛り上げることを誓っていた。【本間翼】