<阪神3-0巨人>◇21日◇甲子園

 レジェンドから極上のG倒パワーが降り注いだ。阪神OBの江夏豊氏(66)と田淵幸一氏(67)の「黄金バッテリー」が阪神-巨人13回戦の始球式で再結成された。タテジマの「28」と「22」が放つオーラが、甲子園に充満。偉大すぎるOBは、アーチスト捕手の梅野隆太郎(23)という「直系」後輩に温かいエールを送った。

 がんばれ!!

 ウメノくん!!

 田淵氏はルーキー梅野に「2代目」を託した。70年代の甲子園を熱くさせた江夏氏との「黄金バッテリー」として、巨人戦の始球式を行った。当時のタテジマ姿に背番号22、スコアボードには4番捕手に「田淵」、9番投手に「江夏」と記された。江夏氏のワンバウンド投球を捕球できなかったが、うれしそうな苦笑いでボールを追いかけた。

 直後に花束を渡された。贈呈役は同じ打てる捕手として活躍し、この日もスタメンマスクの梅野だった。レジェンドは初対面で声を掛けた。

 「背番号を軽くしてもらったらどうや。アピールせいよ。22番をつけられるように頑張れ」

 開幕戦出場と4月中の本塁打は「新人捕手」として、7月1日ヤクルト戦の2打席連発は「新人」で、いずれも阪神では自身以来「45年ぶり」となる冠が付いた。オールドファンを喜ばせ、若き日を思い起こさせる響き。23歳の梅野によって、記憶に残る強打者田淵がよみがえった。

 「打てる、守れる野手だし、キャッチャーとしてホームランを打てるバッターが生まれた」

 思わぬゲキに、梅野も「22はヒョンさん(呉昇桓)がつけているので…。期待してくれているので、打てる捕手を目指していきたい」と感激していた。

 星野監督で優勝した03年に、同じ打撃コーチだった和田監督も激励した。「(江夏氏と)2人とも、巨人の大きな山を倒すためにやってきた。長嶋さん、王さんをやっつけるという野球人生を送ってきた」。感激に浸る先輩を笑顔にさせる、宿敵への快勝。和田監督は「岩田が江夏さんのような感じだった。マウンドさばきも似たところがある…と言うと江夏さんに失礼かな。彼らが、そういうバッテリーになって欲しいね」と感謝していた。【近間康隆】