<楽天3-2日本ハム>◇26日◇コボスタ宮城

 日本ハム大谷翔平投手(20)が今季6度目の2桁奪三振も、自身初の10勝目はお預けとなった。前回9日の対戦で16三振を奪った楽天相手に8回5安打2失点。最速159キロで三振10個を奪ったが、同点のまま降板して勝利はならなかった。チームは9回、サヨナラ負けを喫した。

 少し投げやりだった。大谷は、リュックサックを左肩にぶら下げて足を止めた。弱冠20歳。真っ赤に染めたほおに、無念さがにじんでいた。8回、自責点1の力投は報われず。踏ん張り抜いて託した、降板直後の9回にサヨナラ負けを喫した。162キロの衝撃を残した球宴明け、後半戦初登板で狙った節目の10勝目を逃したことへの思いは皆無。「特にないです」。上位追撃を狙うチームに貢献できず、打ちひしがれた。

 完璧に築いた底力で、神経戦と向き合った。今季2戦2勝。前回9日の対戦で自身最多16三振で1失点完投と圧倒した楽天に、揺さぶられた。3回、先頭の小関はセーフティーバント。大谷が自ら処理し、一塁へ送球。中田が捕球できない失策をきっかけに同点にされた。軽やかなフィールディングが実らなかった。明らかに攻略法を変えてきた気配を察知しながらも、リズムを乱された。

 致命傷になったのは5回。2死から松井稼に四球を与え、続く藤田の初球で二盗を許した。前回は1度も仕掛けて来なかった機動力で対抗された。死球で2死一、二塁。岡島に初球から4球連続フォークを続け、同点中前打を献上した。序盤からの変化球主体の組み立てが、痛打の伏線だった。「7、8回から勢いが出てきたけれど、その前に抑えられなかったことを考えないといけない」。この日、二盗を3度決められたが、いずれも変化球時。配球の傾向を読まれるなどスキが見えた可能性がある。

 不動のすごみで最速159キロをマークし、今季6度目の2ケタ10三振を積み上げた。残した成績以上に意義がある、投手として成長を遂げるための教訓を得た。9回完投できず「少し球数が多いのは考えないといけない」など、今後の課題を胸に刻み込んだ。破竹の7連勝の勢い十分に挑み、敗れはせずに「不敗神話」は継続した。圧倒的なパフォーマンスだけではなく、局面に自在に対応し、打ち勝つ術の必要性を学んだ。

 次回登板予定は8月3日ソフトバンク戦。本拠地・札幌ドームで首位を迎え撃つ重要な3連戦の3戦目が、濃厚だ。「納得はできないけれど粘れはした」と進撃が一時停止した、この日を糧に大勝負へ向かう。大谷の真価が問われる舞台になる。【高山通史】