9ゲーム差の3位で首位を追う日本ハムが、逆転Vへ甲子園の元スター球児をフル稼働させる。チームは28日、遠征先の仙台から千葉へ移動した。今日29日からのロッテ戦(QVCマリン)は上位と直接対決前の大事な3連戦。3戦目の31日は斎藤佑樹投手(26)が先発。打線は中田翔内野手(25)が左翼へ復帰し、大谷翔平投手(20)がDHで起用される見込みだ。高校球児として聖地を沸かせた3人を一挙投入。各地で劇的展開が続く高校野球のように、ミラクル大逆転劇ののろしを上げる。

 大どんでん返しを起こす起爆剤は、日本ハムが誇る元甲子園スター球児のビッグ3だ。逆転Vへ、1つも負けられない4位ロッテとの3連戦。31日の3戦目に先発予定は、06年夏の甲子園優勝投手の斎藤だ。2年ぶりの勝利をかけてのマウンドだが、「僕の久しぶりの勝利というより、チームの優勝のために貢献したい」と個人の思いは封印。求めるのは、チームを上昇気流に乗せることだけだ。

 大舞台の強さは過去の実績が証明する。12年は開幕投手を務め、プロ初の完投勝利をマーク。栗山監督の就任初年度のスタートを勢いづけ、リーグ制覇まで果たした。「僕にとっては後半戦のスタート。もう1回、気を引き締めていきたい」と意気込む。8月1日からはソフトバンク3連戦(札幌ドーム)。さらに帯広でオリックスと2連戦後、敵地で再びソフトバンクと対戦。「持ってる男」の本領発揮で、チームにいい流れをもたらすつもりだ。

 打線も超高校級と騒がれた中田と大谷が同時起用される見込み。左膝痛などを抱える高校通算87発の中田を左翼に復帰させ、同56発の大谷はDHでの出場が有力。この日、2軍本拠地の千葉・鎌ケ谷でウエートトレーニングを行った大谷は「打てば(チームが)勝つ確率が高くなる」と気迫を込めた。中田も「オレは左翼へ就くつもりで、もちろんやる」とおとこ気をたぎらせた。

 チームは後半戦最初のオリックス戦に3連敗し、上位2チームに水をあけられている。栗山監督も「8月の後半から9月を考えていたのが、早く仕掛けないといけなくなった」と、ロッテとの3連戦を勝負どころと位置づける。夏の甲子園予選では、前日27日の星稜(石川)のように劇的な大逆転劇が相次いでいる。日本ハムも負けられない。かつてのスター球児を中心に、大逆転でのリーグ制覇を目指す。【木下大輔】