<ロッテ1-3日本ハム>◇7月31日◇QVCマリン

 潮流に乗った。勝負どころと踏んで、一気に攻勢に出た。同点に追いついた6回、なお1死三塁の好機に日本ハム栗山英樹監督(53)は小谷野を代打に送った。斎藤を好リードしてきた市川の代打、ロッテ唐川とは「右対右」になるが迷わなかった。「早く勝負にいかないと(行き)詰まってしまう。(小谷野)栄一と唐川の相性を考えた」。采配はズバリ。小谷野が決勝の中前適時打。8回には中島のスクイズで追加点も挙げた。

 斎藤の勝利を、誰よりも待望していた。4四死球を与えて自滅した4月10日の楽天戦。2回途中で降板を命じ、2軍行きを決めた。「厳しかったと思う」が、打者に向かっていく姿勢が見えなかったことが許せなかった。指揮官と選手という関係になるずっと前から知る、斎藤佑樹の本来の姿。取り戻させるために、荒療治を覚悟で突き放した。

 好投しながら勝利に見放された7月12日ソフトバンク戦(5回1失点)後は、監督室に呼び、2人だけで言葉を交わした。「この気持ちは忘れるな」。一貫していた。斎藤の胸の奥底に眠る、闘争本能に刺激を与え続けた。「本当に良かったね。感動は推進力になる」。目は、潤んでいた。

 監督就任1年目。斎藤を開幕投手に指名し、勝った。チームはリーグ優勝まで上り詰めた。今季2度目の同一カード3連勝がかかった一戦。今日1日からはソフトバンク、オリックスとの連戦も続く。あのときと同じように、重要な試合を斎藤で取った。「あいつが(チームに)何かを与えてくれたような気がする。これを生かして、明日(1日)から戦っていきます」。上位猛追への期待感が、チーム全体を包んでいる。【本間翼】