<ソフトバンク7-2日本ハム>◇8日◇ヤフオクドーム

 諦めるのはまだ早い。日本ハムが今季ワーストタイの5連敗を喫した。先発メンドーサは5回を13安打7失点で降板。打線も4回と6回に無死満塁の好機がありながら、拙攻の連続で2点奪うにとどまり、再び借金生活に突入した。首位ソフトバンクと力の差を見せつけられた格好だが、栗山英樹監督(53)は逆に「すげぇ燃えてきた」と反転攻勢を期した。

 完敗で、腹は据わった。敗戦後の栗山監督はむしろ“ハイ”だった。「負けて悔しいんだけど、メラメラくる。何とかしてやるってみんなも思ったと思う。なんかすげぇ燃えてきた」。今季ワーストタイの5連敗。そこに悲壮感はなかった。

 相手の失策から生まれた3回2死二、三塁の好機を逃すと、直後にメンドーサが3失点。不運な当たりやきわどい判定にも泣かされた。4回無死満塁の絶好機には大引、北が連続三振で無得点。6回の2度目の無死満塁も、稲葉の併殺打の間に1点を奪うのがやっとだった。流れを引き寄せかけては、その都度自ら手放した。

 試合後に行われたコーチ会議で、指揮官は言った。「連敗は関係ない。できることを精いっぱいやり尽くす。もう1度徹底しよう」。首位ソフトバンクとは今季最大の12・5ゲーム差。戦力の差をはっきりと突きつけられ、もう迷いはなくなった。

 強敵相手に「弱者」であることを認め、徹底的に策を弄(ろう)する。今日9日の2戦目以降を見据え、同監督は「もっと早く仕掛ける。できることを、手を尽くしていく」と宣言した。攻撃時の采配や選手起用だけではなく、守備でのサインプレーなど、ありとあらゆる作戦を講じ、全力で目の前の1勝をつかみにいく。「相手だって嫌だと思う」。火事場の何とやら…。事態が切迫しているからこそ、できることがある。

 先月末に5連勝で積み上げた貯金を吐き出し、2週間ぶりに勝率は5割を切った。上位に水をあけられ、ロッテ、西武もジワジワと迫る。だが屈辱的な黒星で5連敗を喫するという“劇薬”が、指揮官を、チームを、変えるかもしれない。【本間翼】