目指せカープ最強捕手!

 パンチある打撃を売りに正捕手に定着してきた広島会沢翼捕手(26)が好調だ。8月は6本塁打で、ここまで9発をマーク。球団の歴史で2桁本塁打を放った捕手は数えるほどで、歴代トップすら狙える位置にいる。今日26日からのヤクルト3連戦も会沢に注目だ。

 23年ぶりリーグ優勝を目指す広島に、新たなスター誕生の予感だ。後半戦から正捕手に定着しつつある会沢が8月に入り、飛躍的な活躍を見せている。5月10日に初出場した今季はここまで56試合で3割2分7厘の成績だが、今月に限れば19試合で3割7分9厘、6本塁打、14打点とブレーク中だ。

 「タイミング負けしないようにと思って打席に入っています。りきまないように打つのが大事。これかなあ…と思う打撃が、今はできていますね。マスクをかぶっているときと打席では切り替えているつもりです。でも『相手に打たれても自分が打てばチャラだ』と思うこともあります」

 野手は休日だった25日もマツダスタジアムを訪れ、軽く汗を流した。5月に入ってファームから昇格した際に、新井打撃コーチから、大きく上げていた左足の動きを抑えめにするように指導を受け、モデルチェンジ。これも好調の一因のようだ。

 現在、自身初の2ケタ本塁打にリーチをかけている。広島球団自体の歴史でも本塁打のある捕手は少なく、過去、門前真佐人(12本=53年)水沼四郎(11本=76年)石原慶幸(10本=09年)の3人がいるだけ。あと4本打てば、カープ捕手としては歴代トップに躍り出る。

 「本塁打の数は気にしていません。ヒットの延長だと思っています。でも最近なら城島さんとか阿部さんとか、捕手でも本塁打を打つ時代ですからね。自分もそうなりたいし、高い目標を持ってやりたい」

 首位巨人に3ゲーム差の広島は、今日26日からヤクルトと地元で3連戦。ヤクルトにはバレンティン、山田と1発のある打者がいるが、会沢も勢いでは負けていない。野村、福井、そして前田と右腕トリオをリードし、自身も記録的本塁打を放てばチームが加速することは間違いない。【編集委員・高原寿夫】

 ◆門前真佐人(もんぜん・まさと)1917年(大6)5月15日、広島県生まれ。広陵中(現広陵高)では35年センバツで準優勝。タイガース(現阪神)が創立した際に契約第1号選手となる。金星-阪神を経て50年大洋に移籍し同年史上3人目のサイクル安打。52年広島に移籍し、56年引退。61~62年広島監督。通算1203試合、892安打、80本塁打、543打点、2割3分7厘。現役時代は173センチ、68キロ。右投げ右打ち。84年死去。

 ◆水沼四郎(みずぬま・しろう)1947年(昭22)2月27日、兵庫県生まれ。報徳学園-中大を経て68年ドラフト2位で広島入団。黄金時代の正捕手として活躍。79年近鉄との日本シリーズ第7戦では江夏とバッテリーを組み、打者石渡のスクイズを外し日本一に。83年中日に移籍し同年引退。通算1333試合、706安打、41本塁打、273打点、2割3分。現役時代は174センチ、74キロ。右投げ右打ち。

 ◆石原慶幸(いしはら・よしゆき)1979年(昭54)9月7日、岐阜県生まれ。県岐阜商-東北福祉大を経て01年ドラフト4巡目で広島入り。2年目の03年に正捕手をとなる。09年WBCに出場。今季は53試合出場ながらチームの精神的な支柱。通算1234試合、844安打、59本塁打、315打点、2割4分1厘。177センチ、90キロ。右投げ右打ち。