<中日5-6広島>◇29日◇ナゴヤドーム

 目を疑うような光景だった。中日は3-3で迎えた延長11回。1死一、三塁から広島赤松のセーフティースクイズにマウンドの5番手小川が焦った。走者が三本間で突入をちゅうちょしているにもかかわらず、本塁の谷繁元信兼任監督(43)にトス。ボールがミットを越えて転がる間に、勝ち越しの走者が駆け抜けた。その後も暴投で追加点を与えるなど、最後の最後にまたミスが出た。

 2試合連続で本拠地の延長戦を落とした。4時間31分のロングゲームを終えた指揮官は疲労困憊(こんぱい)だった。少し考えて「最初に勝ちきらないといけないんですけど、そういう形にならない」と言葉を絞り出した。続けて「キャッチャーとして何とか止めてやればよかったんですけど…」と、延長11回の場面を振り返った。

 食らいついた。2点ビハインドの7回には小笠原の左前適時打、8回には藤井の3号ソロが飛び出し同点に追いついた。ところが延長10回には広島天谷の打球をセンター大島が後逸(記録は三塁打)。直後に松山の右前打で勝ち越しを許した。その裏に平田の中前適時打で再び追いついたが延長11回にまさかのバッテリーミス。竜に勝利の女神は振り向いてくれなかった。

 この日は「燃竜(燃えドラ)」の青のサードユニホームも最終日。これで燃えドラはトータル8試合で2勝5敗1分けと何とも不完全燃焼となってしまった。チームは4連敗で借金が今季最大の9。首位巨人とは11・5ゲーム差。指揮官は「逃げることも出来ないし毎日、向かっていくしかない」と必死で前を向いた。