<オリックス3-7日本ハム>◇5日◇ほっともっと神戸

 日本ハム大谷翔平投手(20)が、メジャーでもベーブ・ルースしか達成していない「10勝&10発」に王手をかけた。オリックス戦は「5番DH」で先発。2回に9号先制ソロを逆方向の左翼席に運んだ。すでに投手としては10勝を挙げており、2年目で自身初の2桁本塁打へあと1本に迫った。大谷の活躍もあり、チームの連敗は3でストップした。

 世界的な大偉業が目前に迫った。大谷が今季9本目のアーチ。メジャーでもベーブ・ルースしか達成していない「10勝&10発」に王手をかけた。「(10本塁打を)特に目標にはしてないので。意識は特に…」と、にくいほどにポーカーフェース。過熱する周囲とは対照的に、淡々と言葉を並べた。

 3日の楽天戦では、8与四球の乱調で4敗目。中1日、その第1打席、最初の一振りだった。2回1死、東明の133キロ変化球を左翼席へ運んだ。「甘い球をしっかりと捉えられました。いい方向に打てました」と振り返った。直球待ちの変化球打ち。しっかりと体重を残し、反対方向へ“引っ張った”。7回2死三塁では、敬遠気味に歩かされた。プロ入り初めての体験。相手バッテリーが恐怖を感じ、勝負を避けた。

 ポーカーフェースに隠された、強い思いがある。投打「二刀流」は、入団当初から批判の的になった。否定的な意見は、聞きたくなくても耳に入る。弱冠20歳の心は、傷つけられた。だから、今季が始まる前、栗山監督と「今年は絶対に結果を残そう」という約束を交わした。「過程も大事。でも、この世界は結果がすべて」(栗山監督)。周囲を認めさせ、黙らせるには、数字を残すしかなかった。

 チームトップの10勝を挙げ、防御率はリーグ2位の2・46。一方で、198打席目での9本塁打到達は、22打席に1本のペース。フル出場なら、シーズン24~25本は打つことになる。これは高卒2年目で20本塁打を放った、松井秀喜よりも上の数字だ。投打両方での飛び抜けた素質と、両立が可能であることを自らの力で証明した。

 残り24試合。「10勝&10発」どころか、1918年のベーブ・ルースの記録「13勝&11発」も視界にとらえる。今日6日も、DHでの出場が濃厚。伝説の偉人が持つ「世界記録」更新の瞬間が、現代に訪れるかもしれない。【本間翼】