<西武3-8楽天>◇13日◇西武ドーム

 4番が打って、順位を上げた。楽天はアンドリュー・ジョーンズ外野手(37)が、西武戦で先制2ランを含む3安打3打点と活躍。左手首打撲から復帰して、すぐに主砲の働きをみせた。打線全体でも17安打8得点。先発した則本昂大投手(23)を強力援護した。西武と入れ替わり、単独5位に浮上。6月12日から続いていた最下位を、ついに脱した。

 ジョーンズが一振りで、1軍初登板の右腕を打ち砕いた。1回2死二塁。西武誠の球を見逃し続け、カウント3-1。5球目。141キロ直球が真ん中に入った。見逃さない。左翼席中段への先制2ランで、ゆっくりダイヤモンドを1周した。「真ん中に来た球を、しっかり捉えることができたね。良いスイングができたよ」と納得の1発だった。

 勢いは止まらない。3回は1死から四球を選び、追加点をお膳立て。6回には、1死二、三塁で中前適時打。さらに、8回2死走者なしで左翼線二塁打を放ち、続く銀次の二塁打で生還した。6月15日以来、今季4度目の3安打。やはり、4番が打つと点が入る。星野監督は「3本なんて、10年ぶりぐらいじゃないか」と冗談を交えたが、当の本人は「ストライクに来た失投を見逃さなかった結果。続けていきたいね」とクールに振り返った。

 鬱憤(うっぷん)を爆発させた。9日のオリックス戦で左手首に死球を受けた。病院には行かずに治療したが、翌日10日の同戦は出場を断念した。ベンチ入りはしたが、4番を若い西田に譲った。11日も出場できるか微妙だったが、雨天中止。「雨のおかげだね」と、天に感謝した。12日の移動日を挟み、満を持して試合復帰。早速、主砲の仕事をした。

 来日2年目。日本での生活に、すっかりなじんでいる。日本語習得にも意欲的だ。最近のお気に入りは「ダメよ~。ダメダメ」。ブレーク中のお笑いコンビ、日本エレキテル連合の鉄板ネタで流行にも敏感だ。意味を理解しているかは不明だが、よく口にするという。チームが5位に浮上し「我々は今、非常に良い野球をしている。誰も最後まで諦めていない。最終的な結果はともかく、この1カ月、どういう野球をするかが、来年のイーグルスにつながっていく」と力説。残り21試合。最後まで手を抜いたら、ダメよ。経験豊富な主砲からのメッセージだ。【古川真弥】