<21UW杯:日本9-7豪州>◇7日◇第1R◇台湾・台中

 第1回21Uワールド杯が開幕し、日本がオーストラリアに逆転勝ちした。阪神ドラフト1位指名の横山雄哉投手(20=新日鉄住金鹿島)が1点を追う6回から登板。3回で5連続を含む8奪三振の快投で逆転勝ちに導き、勝利投手になった。最速147キロ左腕のKラッシュにネット裏のメジャースカウトも仰天。頼もしい虎のドラ1が日本のエースだ。

 横山の世界デビューは、メジャーもビックリの奪三振ショーだった。1点を追う6回から阪神のドラフト1位左腕が登場。先頭こそ3ボールとなったが、そこからテンポ良く追い込んで外角低め直球で見逃し三振に仕留めるとエンジンがかかった。この回、3者連続三振。スタジアムからどよめきと拍手が起こった。

 「最初は硬くて腕が振れていなくてヤバイと思った。でも割り切って腕を振っていったらいつも通りの状態になってくれた。でも、できすぎですね」

 ベンチにかえる横山からは自然と笑みがこぼれた。2イニング目の先頭は二ゴロだったが、フェアゾーンに打球が飛んだのはわずかにその1球。「いつもより低めから伸びた」という自己最速タイの147キロ直球を武器に、スライダー、カーブを織り交ぜ3回パーフェクト。右打者も苦にせず5者連続三振を含め、9人から8三振を奪った。

 ネット裏では大リーグのスカウト陣が目を見開いた。オリオールズは「取ったタイガースはハッピーだね。スターになる素質があるよ」と絶賛。アスレチックスは「緩急の差をうまく使えている。去年のドラフトでも1位だったんじゃない」と評価した。

 ドラフト指名時、和田監督は「マウンド上で腕の振りがいいし、度胸のいい投球をする」と期待を膨らませた即戦力。環境が違うことは言い訳にせず、異国の地でも最大限の準備をしていた。「台湾の米がダメで。あとにおいも。パスタやパンを食べて、嫌でも炭水化物を取るようにしている」。優勝を手土産に、タテジマに袖を通すことが今の目標だ。

 先発した日本ハム中村が4回途中6失点と乱調。初回の5点リードをひっくり返される波乱の展開だった。予定外の登板でもチームを逆転に導き“虎の子”として初勝利も手にした。

 阪神ヘッドコーチでもある平田勝男代表監督(55)は「ビシッと抑えてくれて日本に流れをもってきた。大したもんだよ」と孝行息子の快投に目を細めた。今後は中3日で11日の第4戦ニカラグア戦に先発する予定。「阪神横山」のセ界デビューが今から待ち遠しい。【宮崎えり子】

 ◆横山雄哉(よこやま・ゆうや)1994年(平6)2月21日、山形県生まれ。長崎小2年で野球を始め、中山中では「中山ベースボールクラブ」に所属。山形中央では2年春夏に甲子園出場し、いずれも初戦敗退。新日鉄住金鹿島に進み、今年の都市対抗では5者連続奪三振。最速147キロの直球、スライダーが武器。183センチ、85キロ。左投げ左打ち。