阪神がアスレチックスからFAとなった中島裕之内野手(32)に条件提示をしていたことが14日、分かった。最大で4年10億円超の大型契約を示した模様。さらに争奪戦が激化する今後へ向けて「コーチ手形」を用意するなど、条件面以外の「上積み」も準備していることが判明した。日本球界復帰が決定的となった中島に、虎が最大限のラブコールを送っている。

 中島争奪戦に虎が本格参戦した。球団幹部によれば代理人であるスコット・ボラス氏側にすでに水面下で条件提示したという。条件面の詳細は明かさないが、関係者が「他球団には負けない条件ではないか」と自信を見せるように、最大で4年10億円超の大型契約とみられる。球団のレジェンド背番号である掛布氏の「31」、金本氏、和田監督の「6」を用意していることも伝えているという。

 さらに球団幹部によれば、争奪戦が本格化する今後に向けて金銭面以外での「誠意」も準備しているという。多くのファンやマスコミが注目するセ・リーグの人気球団という環境への不安にも配慮して、将来の「コーチ手形」を検討する。これまで阪神が獲得してきたFA選手、日本人メジャーリーガーと同様に新たな挑戦に打ちこめる環境を、できる限り用意するつもりだ。

 前日13日、代理人のボラス氏が「日本からオファーが届いているし、日本でプレーすることになるだろう」と発言したように、中島の日本球界に復帰は決定的となった。すでに条件提示している古巣の西武をはじめ、国内複数球団との争奪戦になることは確実だ。ただ阪神は国内のFA補強からは退きつつ、今オフは中島獲得に全力を注ぐ方針を固めているだけに、1歩も引かない構えだ。

 現在は代理人側とのやりとりだが、交渉が大詰めになった段階での状況次第では、担当者が渡米する準備もしているという。関係者によれば、相手が敏腕代理人だけに再度の条件提示を求められる可能性もゼロではないという。それでも、悲願のリーグ優勝、日本一へ向けて必要な戦力だと確信しているからこそ、長期戦を覚悟して中島獲りに臨んでいる。

 球団の方針では「一発提示」が大前提だが、今後の展開次第では細かい条件を含めた再度の提示も十分に考えられるという。最大限の誠意を用意し、あらゆる状況を想定して、中島争奪戦に挑んでいく。