阪神が明日17日にも、海外FAでの米大リーグ移籍が濃厚となっている鳥谷敬内野手(33)と残留交渉を行う。球団幹部によれば南球団社長が直接出馬する会談は極秘裏に行われ、狙いはズバリ、鳥谷の本音を聞き出すこと。メジャー移籍を決断する条件とは。現実なのか、ロマンなのか。食事をともにし、腹を割って慰留にあたる。

 アメリカのFA市場では「TORITANI」の名前が挙がるようになってきた。ブルージェイズを筆頭に今季ナ・リーグ東地区を制したナショナルズ、ダイヤモンドバックスなど獲得に乗り出す球団も複数に及びそうだ。ただ猛虎も手をこまねいてるわけではない。全力慰留という方針の下、明日17日にも南球団社長が直接出馬して鳥谷との残留交渉に臨む。

 球団幹部によれば、会談は極秘裏に行われるという。周囲のけんそうを逃れて、食事をしながら、じっくりとお互いに向き合うことが目的だという。そして、その狙いはずばり、鳥谷の胸の内にある本音を聞き出すことにあるという。

 早大時代からメジャーへのあこがれを抱いているといわれるが、実際にはどこが決断のラインなのか。どんな契約であってもオファーがあれば移籍するのか。近年ではブルージェイズで活躍した川崎のように、マイナー契約でも米国移籍を決断するケースがある。現実なのか、ロマンなのか。膝を突き合わせて、話し合うという。

 15日、高知・安芸キャンプを指揮していた和田監督は鳥谷残留への出馬について「そう簡単なものではないと思うからね。まずは、それ(球団との交渉)を受けてから」と話した。鳥谷のメジャー移籍が濃厚となってからも指揮官はこう言ってきた。

 「うちは鳥谷中心のチーム編成。彼がいないということは考えられない」

 フロントのトップも、現場のトップも、鳥谷が絶対に必要だというスタンスで一致している。シーズン中から慰留を続けてきた猛虎だが、ここにきて球団トップが直接出馬する事実が、いかに鳥谷を必要としているかを物語っている。