阪神が、来年2月の春季キャンプでジェフ・ウィリアムス駐米スカウト(42)を臨時コーチとして起用するプランを温めていることが20日、分かった。現場の意向を確認してから最終判断する。球団創設80周年の来季に向けてセットアッパー左腕の強化が重要課題になっており、在籍7年間で2度の優勝に貢献した、かつての助っ人に白羽の矢が立った模様だ。すでにOBの江夏豊氏(66)にも要請を検討。伝説の左腕が総力で虎をサポートする。

 日本人以上のサムライと称された男が、沖縄にやって来るかもしれない。左腕強化に本腰を入れる阪神にスペシャルプランが浮上した。来年2月の春季キャンプで、ウィリアムス駐米スカウトに臨時コーチを要請する案を温めている。

 あくまで和田監督ら現場の意向を確認した上で最終決定する段取りだが、実現すればチームにとっても心強い存在になる。ウィリアムスは03年に阪神入りし、救援左腕として大活躍。サイドから150キロ近い直球を投げ、鋭く曲がるスライダーの軌道は打者も予測できないほどだった。

 生きざまそのものが投手陣にとって手本だ。03年は守護神として25セーブをマークし、防御率1・54の好成績を残した。05年は藤川とともに抑えの久保田につなぐ「JFK」の一角として、無敵の継投を演じた。75試合で防御率2・11と抜群の成績で、両年とも、優勝に貢献する主力だった。リリーフエース、セットアッパーの両面で成功しており、投球哲学は阪神にとっても貴重な財産だろう。

 外国人でありながら、熱いハートを持ち、投手陣のまとめ役だった。11年の現役引退時には、藤川が「ジェフがいたことは絶対に忘れないし、僕の財産です」と話すなど、誰もが慕う存在だった。ナイター後も暗くなった甲子園の外野を走り込むなど、ストイックな姿勢を貫いた。野球に対する心意気も魅力だ。いまは球団の国際スカウトとして米国で活動しており、受諾に支障はないとみられる。

 今季は左腕セットアッパー不足に悩まされた。ベテラン加藤や筒井が不調で、シーズン終盤は高宮1人に頼る状況だった。今オフはFA戦線で日本ハム宮西の獲得を目指したが断念。現有戦力を強化する方針にシフトしている。「左腕の中継ぎ投手」を育成する指南役として理想的な存在だ。

 今秋の安芸キャンプでは元広島エースの大野豊氏に臨時コーチを要請。伸び悩む若手がこぞって卓越した投球術を学んだ。来年2月に向けても、球団は準備を怠らない。大物OBの江夏豊氏に臨時コーチを要請する計画を持つ。これに甘んじることなく伝説のレフティーから知恵を拝借する。かつて甲子園のマウンドに仁王立ちした左腕が続々と登場。最善策を施し、ウイークポイントを克服する。

 ◆ジェフ・ウィリアムス

 1972年6月6日、オーストラリア生まれ。米サウスイースタン・ルイジアナ大出身。96年ドジャース傘下入団。99年9月にメジャー初登板。メジャー通算37試合で4勝1敗、防御率7・49。03年阪神入団。同年25セーブ、05年には37ホールドを挙げ、2度の優勝に貢献した。09年オフ退団。日本通算371試合、16勝17敗47セーブ141ホールド、防御率2・20。米帰国後は阪神の駐米国際スカウトに就任。現役時は183センチ、88キロ。左投げ右打ち。