中日の契約更改交渉が揺れた。今季球団タイの186安打をマークした大島洋平外野手(29)は22日、1775万円増の年俸7400万円の提示に保留。参稼報酬調停も辞さない考えを明かすほど憤怒した。平田良介外野手(26)も4700万円の提示を保留した。落合博満GM(60)が就任した昨年から保留者が出たのは初めてだった。(金額は推定)

 「保留しました」。約30分の交渉を終えた大島の言葉に会見場が凍りついた。落合GMが就任した昨秋から延べ104人目の契約更改交渉で初の保留。保留者ゼロが当たり前となりつつあった現体制で、選手会長が“第1号”になった。

 交渉ではどのような話し合いがあったのか。落合GM、西山球団代表との交渉を大島は「希望額にはいってないので、ちょっと考えさせてくださいと。僕自身も1年間やって納得できない数字だったので」と渋い表情で振り返った。

 提示されたのは1775万円増の年俸7400万円だった。今季は141試合に出場し、打率3割1分8厘。球団タイ記録となる186安打を放ち、自身3度目のゴールデングラブ賞も獲得した。

 昨季は左肘の故障もあり7500万円から制限いっぱいの25%ダウンを受け入れた。「最低でも去年の数字は超えたかった」と昨年の年俸7500万円超えを目安にしていただけに、落胆の色は隠せなかった。

 大島は1歩も引くつもりはなく、会見では「(参稼報酬)調停でもいく覚悟はある」と強い決意を語った。一方、西山球団代表は「査定はきちっと出ているので変わらない」と提示を見直すつもりはない。調停についても「選手としての権利だから、そういうつもりがあるならやったらいい」と球団側の考えを語った。次回交渉は未定だが、ここまで淡々と進んできた落合GMの契約更改交渉が一気にもつれた。【桝井聡】

 ◆年俸調停

 正式には「参稼報酬調停制度」。コミッショナーが申請を受理した場合、調停委員会が選手、球団からそれぞれの希望額と根拠を聴取し、30日以内に調停を終結させる。調停で決まった参稼報酬額には従わなければならない。選手が拒否した場合は任意引退選手となる。最近では11年に当時西武の涌井が申請。チームトップの14勝(8敗)で防御率3・67。現状維持の2億2000万円を提示した球団と4度の交渉でまとまらず、5年連続2桁勝利など実績に見合った評価を求めた。年俸調停委員会でのヒアリングなどを経て、3300万円増となる2億5300万円で決定した。