球児流で守護神目指せ!

 阪神が来季、松田遼馬投手(20)を「8回の男」として競わせる構想が24日、分かった。15年も呉昇桓が不動の守護神だが、2年契約の最終年で去就は流動的。抑え不在の不安を解消すべく、来年は松田を福原や安藤らと争わせる方針。球団最多220セーブを誇る藤川(現カブスFA)がたどった出世街道を、将来のストッパー候補が歩む。

 阪神が次代の守護神育成に本腰を入れる。来季は春季キャンプから、松田に必勝リレーの中軸を競わせる方針だという。中西投手コーチが「遼馬が福原や安藤のところで投げられるかどうか。1年続けてやったことがない。50試合くらい投げられる体力を身につけないと」と構想を明かした。

 今季39セーブを挙げてセーブ王に輝いた呉昇桓が来年も不動の守護神だ。将来のリリーフエースと期待される松田については、今年「勝利の方程式」を担ったベテランの福原、安藤と勝負させる方向。くしくもかつての守護神と同じルートをたどる。阪神最多220セーブを挙げた藤川も05年はウィリアムスとともに7、8回の中継ぎを任され「JFK」の一角として活躍。藤川も「セットアッパーは若さとか、勢いがないと務まらない」と話し、総合的な投球術が求められるクローザーとの違いを話すことがあった。

 松田が将来、抑えに成長するためにも、21歳の来年「8回の男」の座に君臨することは、重要なステップ。球団の編成関係者も「スンファンがいる間に松田を育てないといかん。そうでないと、守護神がいなくなる」と話す。呉昇桓は来季が2年契約最終年。将来的な大リーグ挑戦の意思を持っており、16年以降の去就は不透明だ。それだけに150キロ超右腕に英才教育を施す意義は大きい。

 故障防止が松田の重要テーマだ。中西コーチは「今年はキャンプに入って2クールで故障やろ。肩や肘の問題もあるから、トレーニングを管理しないといけない」と説明。13年は全身の張りで1軍キャンプを途中で外れ、今年も2月中旬に右肘の違和感を訴えて離脱。実戦復帰まで5カ月を要した。失敗を繰り返さないためにもオフの練習ぶりも目配りする構えだ。

 今季は6試合に登板し、防御率1・93だった。ポストシーズンも3試合無失点と力量を実証済み。松田も「今年、けががあってシーズン後半だけだった。いまからは時間がある。今年は真っすぐを相手が待っていた場面が多かった。そこを変えていかないと通用しない」と意気込む。球児の背中を追い、階段を駆け上がれるか。剛腕がリリーフエースへの登竜門に立つ。

 ◆藤川の出世街道

 00年のプロ初登板から04年まで、藤川は14試合に先発。05年からセットアッパーとして抑えの久保田につなぐ立場を確立、2年連続最優秀中継ぎ投手を獲得した。久保田が右手甲を骨折し離脱した06年6月以降は抑えも務め、17セーブを挙げ適性を証明。07年にはストッパーに本格転向し、同年の46セーブはプロ野球シーズン記録。11年には41セーブで2度目の最多セーブを獲得。12年オフにメジャー移籍するまでに積み重ねた220セーブは、日本球界5位となった。