日本ハム中田翔内野手(25)が1日限定の監督と打者、投手の「三刀流」でフル回転した。11月30日、茨城・土浦のイベントに参加。茨城県軟式野球選抜との軟式球での特別試合では「チーム中田翔」のプレーイングマネジャーとして出場。打席だけでなく、高校時代以来の実戦登板で観衆の度肝を抜いた。

 6回表にサプライズが待っていた。監督として球審に「代打、オレ」ならぬ「ピッチャー、オレ」。侍ジャパンの4番を務める男がマウンドへ向かった。1回の第1打席は凡退。「打てないなら、何かしないと。少しでもファンに喜んでもらおうと思ってね」と予定外の“志願”登板だった。

 大阪桐蔭時代は投手として最速151キロをマークした剛腕。3人目の打者への3球目だった。外角高めに外れたが144キロを記録。硬式球よりスピードが出にくいと言われる軟式球で脅威の球速に「自分でも、びっくり。硬式(球)だと、もうちょっと出るかな」。1四球も1回無失点と怪物は並外れた実力を発揮して拍手喝采を浴びた。

 6回裏には本業でも魅せた。2死二塁から中越え二塁打。「軟式は難しい。本塁打の角度だったけど」と悔しがったが笑顔。試合中にはスタンドも回って観客とふれ合った。試合は2-3で敗れ、監督しては“初黒星”も充実感いっぱい。「良かった。みんながニコニコしてくれて」。中田らしい“フルスイング”のファンサービスだった。【木下大輔】