マー君超えで球団史上最速の大台到達だ。楽天則本昂大投手(23)が3日、仙台市内の球団事務所で契約更改交渉を行い、6000万円から倍増の推定1億2000万円でサインした。昨年は15勝で新人王。今季も14勝10敗と2年連続で結果を残した。球団からはエースとしての期待を込められ、異例の複数年契約を提示されたが固辞。単年契約を選んだ。ヤンキース田中の3年目の年俸を抜いた右腕は、沢村賞獲得を誓った。

 予想外の金額に則本の表情がほころんだ。「(1億円に)乗りました。素直にうれしかった。想像以上」とヤンキース田中を抜き、球団史上最速の大台到達に胸を張った。2年連続の開幕投手に2ケタ勝利。200回投球、奪三振のタイトルとチームの顔になりつつある右腕への評価は倍増の1億2000万円だった。

 まだ2年目を終えたばかりだが、異例の複数年契約まで提示された。「ありがたいことに複数年も提示していただいた。でも単年で勝負したいと契約させていただきました」と明かした。中心選手としての自覚を持たせ、真のエースとして成長させたい。これだけの提示をされる選手だと覚悟を持たせたいという、球団の願いだった。安部井チーム統括本部長は「則本はエリート街道を歩んできたわけではない。人一倍強い負けん気を促進させる意味でも、置かれる立場を明確にしたかった」と説明した。

 しかし、則本は単年での勝負を選んだ。前監督の星野シニアアドバイザーからは「3年やってこそエース」と言われ続けた。今季は不調から8月に一時的に中継ぎとなった。「1年を通して安定した投球をしないと」と7完封を挙げるも、防御率3・02というムラのある投球を課題に挙げた。まだ絶対的な成績を残せていない。挑み続けるためにも、複数年という安心はいらなかった。「年下にも年上にも負ける気はない。エースだと声を大にして言いたいので」と決意がある。

 だからこそ目標は大きい。「沢村賞を取りたい。沢村賞の項目を全てクリアできるように」と意気込んだ。田中のようにメジャーに興味があるのではと聞かれると「上を見ている余裕はない。現段階で全然興味がない。まずはプロ野球の世界でNO・1になりたい」ときっぱり言い切った。楽天のエース、そして日本のエースとなるために、勝負の3年目が始まる。【島根純】

 ▼則本が1億2000万円で更改。入団3年目では07年マイケル中村(日本ハム)の1億5600万円に次ぐ2位の高額。マイケル中村は大リーグを2年経験しており、日本のアマ球界からプロ入りした選手では来季の菅野(巨人=1億1000万円)を抜く最高額となった。3年目の1億円到達は史上5人目。楽天の3年目では09年田中(現ヤンキース)の7500万円を上回る球団史上最高額。