これぞ大黒柱の自覚!

 阪神藤浪晋太郎投手(20)が5日、兵庫・西宮市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、4000万円増の年俸8500万円でサインした。2年目オフの契約更改では球団史上最高額をゲットしたが、浮かれることなく95分間のロング交渉で球団側と意見交換。あらためて1本立ちを誓い、初の開幕投手にも意欲を見せた。

 藤浪の額に汗がにじんでいた。熱く意見交換した証しだ。チームを良くしたいという思いに、20歳という若さは関係ない。投手陣の柱と期待される立場を強く自覚した上で、高野球団本部長に思いの丈を伝えた。

 藤浪

 練習のこととか、タイガースの環境のこととか、代表でいいなと感じて取り入れてほしいと思ったことを、1人の意見として言わせていただきました。

 4000万円増の年俸8500万円でサイン。2年目オフでは球団史上最高額を手にしながら、浮かれることなく話し合いをスタートさせた。

 まずは宣言通り、広島前田との合同自主トレについて許可を願い出た。阪神の若手は12、1月に強化指定選手となり、鳴尾浜で練習することが通例。鳴尾浜の施設、環境には一切の不満もないが、「何かそれ以上のプラスアルファを求めたいと思って」。希望を伝えたところ、「大筋OKのような感じ」で後日、返事をもらう形に落ち着いた。

 11月に戦った侍ジャパンでの経験も伝えた。今回、日本代表には管理栄養士が同行。ホテルの食事会場や球場サロン、トレーナー室には明治ザバス社のプロテイン、ビタミンなど数十種類のサプリメントが常備されていた。「代表では栄養学というか、プロテインバーが充実していた。球団にもあったらいいなと思って、意見として言わせていただきました」。熱い意見交換は責任感の表れに他ならない。

 藤浪

 今年はローテの1本として計算してもらって、CSファイナルステージ1戦目も任せてもらった。意気に感じて自覚が芽生えたのは確かです。

 今オフは和田監督から来季開幕投手の候補に挙げられ、能見からはエース禅譲を公言された。「(来年は)3年目ですし、チームの柱として1本立ち、自立できるように頑張りたい。藤浪がタイガースを支えているんだと言ってもらえるような数字を残したい」。

 来季開幕投手に向けても「見合う成績を残せたかと言うとそうでもない」と前置きした上で「目指してオフの間、調整していきたい」ときっぱり。藤浪は力強く「エース道」を走り始めている。【佐井陽介】

 ▼藤浪が来季開幕投手になれば、球団のプロ3年目以内では97年川尻(3年目)以来。高卒に限ると69年江夏(3年目)以来、46年ぶりとなる。