阪神がオリックスから国内FA宣言した金子千尋投手(31)に、きょう16日にも条件提示することが分かった。詳細は明かされていないが、情報を総合すると最大で3年15億円級の大型契約になる可能性もある。また、球界関係者によれば金子サイドは今週中に球団を絞り込み、年内に結論を出す見込み。阪神はここまで慎重に調査を行ってきたが、本人との直接会談も視野に提示に踏み切る。

 阪神が獲得調査を続けていた金子に、ついに条件を提示する。ここまでは手術した右肘の状態やオリックスとの交渉状況などを調査していたが、今オフ手術した右肘の最終チェックを行い、きょう16日にも代理人に提示するという。文字通りの正式アタックだ。

 「国内球団の半分くらいは手を挙げているのではないか。年俸の相場は5億円から、高くて8億円くらいまでいくのではないか」

 ある球界関係者はこう証言する。金子サイドはオファーをもらった複数球団を今週中に2、3球団に絞り込み、年内には結論を出したいという意向を持っているという。球団幹部によれば、阪神もここまでは慎重に調査を進めてきたが、金子側が望む“期限”があるため条件を提示することになったという。

 条件面の詳細は、最大で3年の複数年契約になるとみられる。前述の球界関係者の証言をもとにすれば、3年15億円級の大型提示となりそうだ。また、将来的にメジャー移籍を希望した場合のポスティング制度については1年契約では抵抗を示しているが、2年間プレーした後ならば、容認する方向だという。

 阪神は今オフ、国内では山井、成瀬、宮西。そして、米大リーグ・アスレチックスからFAとなった中島を補強候補としていたが、いずれも獲得には至らなかった。今季は2位からの日本シリーズ進出を果たしたが、球団80周年の来季に優勝を狙うためには戦力的に大きな“上積み”を期待できる目玉選手が必要だという声は本社、球団内に根強い。現状、補強市場で、それに見合うスターは金子しかいない。

 また、関係者によれば、条件提示した後、来週にも本人との直接会談の可能性もあるという。金子の意思を確認し、巨人を倒して優勝するという球団の意気込み、編成方針を直接伝えるためにも、本人と顔を合わせての交渉に勝るものはない。今オフ、FA市場、最後にして最大の目玉に対してついに虎が動く。<金子の去就経過>

 ◆FA宣言

 申請期限の11月11日に国内FA権行使を表明。「すべての可能性を考えたい」。阪神、ソフトバンク、中日、楽天が興味示す。

 ◆日米野球

 14日の第2戦に先発。5回3安打3失点。

 ◆容認せず

 オリックス瀬戸山本部長は20日、ポスティング制度について「今のところは認めない」。

 ◆残留交渉

 21日、オリックスが金子の代理人と4時間交渉。既に提示した3年最大15億円(推定)から条件上積みの可能性。金子側はオリックスへの愛着を示しつつ「せっかくなのでいろんなチャンスを見たい」。

 ◆今オフメジャー断念

 24日、金子は「今年オフのポスティングはしない方向で考えています」と明言。

 ◆手術

 25日、右肘遊離軟骨除去の手術を受けることを公表。29日に神戸市内の病院で受けた。

 ◆未定強調

 12月10日、自身のブログを約5カ月ぶりに更新。「今も真剣に悩み、考えています」など胸中をつづった。