師匠、超えさせていただきます-。中日大野雄大投手(26)が17日、吉見超えに意欲を示した。大野のプロ入り以来、師弟関係を築いてきた2人。ただ4年間、そろってフルで働いたことがない。来年は初めて対等に競り合えるチャンス。師匠を白星で上回ることを目標に掲げ、沖縄合同自主トレも今回が最後の予定。あこがれの先輩を超えて、一人前への道を歩み出す。

 機は熟した。完全復活を期す吉見が開幕投手へのこだわりを明かした翌日、今度は大野が堂々のライバル宣言をぶち上げた。

 「吉見さんは超えないといけない存在です」

 プロ入り2年目のオフから毎年、自主トレに“お伴”してきた。投球練習でつきっきりで指導を受けたこともある。同じ京都出身で公私にわたってベタ付きしてきた。だが、そんな26歳も2年連続で10勝。来季は開幕投手を山井と争うところまで成長した。

 「今までは学ぶ側だったけど、次からは(後輩を)連れていく立場になるかもしれない。吉見さんの側になって勉強してみたい」。1月に行う沖縄・読谷での合同自主トレも今回で卒業予定。免許皆伝を終えれば、いよいよ独り立ち。今度は師匠をライバルとして鍛錬の励みにする。

 大野は入団後2年間、左肩の不調もあり計10試合登板にとどまった。その間、吉見は押しも押されもせぬエースとして18勝、13勝をマーク。逆に大野が台頭したこの2年間は、吉見が右肘手術とその影響などで計9試合の登板で1勝だけ。一時的に立場は逆転した。だが、もちろん大野に逆転した意識などない。

 来年はがっぷり四つで組める条件が整いそうだ。吉見は右肘の状態もよく、この秋は精力的な投げ込みを行い、完全復活への手応えを示している。

 対するエース左腕は若手中心だった阿久比町での秋季投手キャンプを順調に過ごし、シーズンのいい流れを維持している。ナゴヤ球場で体を動かしたこの日も「ボールをしっかり投げられている。今もブルペンに入れるくらい」と笑顔で好感触を口にした。

 大野が願うのは師匠の完全復活にほかならない。入団時に感激した大きな山に追いつき、追い越してこそ、恩返しになる。【柏原誠】