広島緒方孝市監督(46)が6日、ヤンキースから8年ぶりに広島に復帰した黒田博樹投手(39)から電話であいさつを受けたことを明かした。就任1年目と黒田の8年ぶりの復帰が重なり、24年ぶりのリーグ優勝を誓い合った。佐賀・鳥栖で行われた監督就任祝賀会に出席。調整は一任する方針で、開幕投手についても可能性を残した。

 昼すぎだった。緒方監督の携帯電話が鳴った。「あけましておめでとうございます。今年からお世話になります。よろしくお願いします」。声の主は黒田だった。8年ぶりの復帰が決まってから初めてとるコミュニケーション。あいさつを受けると緒方監督らしく、真っすぐに思いを伝えた。

 「俺も就任1年目だけど、優勝するぞ」

 共通の知人の結婚式で一昨年の12月に会って以来の会話。約20分間のホットラインで「今年にかける意気込みをすごく感じた」。現役時代はセンターから黒田の姿を見た。任された試合を投げきろうという意思を感じていた。「いるだけで雰囲気を変えてくれる選手」とたたえた。

 とはいえ黒田は40歳を迎えるシーズンになる。指揮官も最大限の考慮をする。調整は黒田に一任。「沖縄でやると言っても、向こう(米国)に比べたら寒いし、年齢もあるからね」。話し合いを重ねながら、キャンプの動き、オープン戦での登板日を決めていく。1年間働いてもらうためにも、自らのペースを守ってもらう方針だ。

 投手陣の層はぐんと厚くなった。前田との2枚看板はリーグ屈指と言っていい。3月27日ヤクルト戦の開幕投手には「前田健太が第1候補であるのは間違いない」としながらも「状態がよければ投手コーチから(黒田の名前が)挙がってくるだろうし」と、話すにとどめた。だがそれ以上に「全責任を背負い込んでいたマエケンも少し負担が減るんじゃないかな」と、高いパフォーマンスを発揮できる相乗効果を歓迎した。

 黒田からの電話を受け、「より一層、意欲が高ぶった感じかな」。悲願の優勝へ布陣は整った。その目は目標をしっかりととらえている。【池本泰尚】