開幕譲らん!

 広島前田健太投手(26)が14日、都内の「ウイダートレーニングラボ」で広島大瀬良大地投手(23)阪神藤浪晋太郎投手(20)らと行う自主トレを公開。13年ぶりに本拠地で迎える開幕戦のマウンドへ並々ならぬ思いを口にした。シーズンでも15勝以上、防御率1点台で沢村賞獲得を宣言。メジャーから復帰する黒田博樹投手(39=ヤンキース)と共闘しながら、球界最高の投手を目指す。

 目指すところはただ1つだ。広島前田の目は3月27日の開幕ヤクルト戦を真っすぐ見つめていた。本拠地開幕は13年ぶり、マツダスタジアムでは初の晴れ舞台となる。緒方監督は「マエケンが最有力候補であることに間違いはない」としながらも、あらゆる可能性を残している。前田は1度息を止めると、一気に思いの丈を吐きだした。

 「やりたいというか、やるつもりで調整している。地元だし、投げたい思いは例年より強い。こだわりを持ってやっていきたい。そこは遠慮するところではないと思うので」

 8年ぶりに黒田が復帰し、開幕投手も簡単に手に入るものではない。最終判断はもちろん監督、コーチ。だが、ここ5年間で4度開幕投手を務めたエースのプライドがある。5日に始めた都内での自主トレでは「体を大きく、強く、速い球を投げたい」をテーマにパワーアップを目指している。

 開幕投手のライバルとも言える黒田の加入を、また誰より喜んだのがマエケンだった。「すごくうれしい。刺激になるし、勉強にもなる。一緒に優勝を目指して、負けないようにしたい」とダブルエースで共闘宣言。お互いを刺激しながら、若いチームを引っ張っていくつもりだ。

 個人として目指すは球界最高投手の栄誉だ。「沢村賞をとりたい。勝ち星も15勝以上、防御率も1点台にしたい。あとは、優勝を経験したいです」ときっぱり。昨年12月の契約更改交渉の場で、あらためてポスティングシステムを利用しての早期メジャー挑戦を希望した。シーズン中に脇目を振るはずなどない。だが自己最高の成績を残し、24年ぶりのリーグ優勝となれば、結果的に機運の高まりにもつながるはずだ。まずは開幕投手から、マエケンのシーズンが始まる。【池本泰尚】

 ◆広島の本拠地開幕戦

 セ・リーグの現行ルールは2年前の上位3球団が本拠地開幕権を持つため、13年3位の広島は今季開幕戦をホームで迎える。広島の本拠地開幕は02年以来13年ぶり。当時は原則として前年上位3球団の本拠地開催だったが、02年は例外的に順位にこだわらず全国6都市(札幌、東京、名古屋、大阪、広島、福岡)での分散開催が試され、広島は前年4位でも開催できた。順位による本拠地開幕は98年(前年3位)以来となる。

 ◆主な他球団主力投手同士の自主トレ「呉越同舟」

 鹿取(西武)と岡林(ヤクルト)は、母親同士がいとこで、ともに高知商出身。岡林がプロ入りしてから、合同で自主トレを行った。金子(オリックス)と吉見(中日)はともにトヨタ自動車出身。10年に古巣で自主トレ。12年1月にはWBCでのチームメート、ダルビッシュ(レンジャーズ)と田中(楽天)が、宮崎で1週間寝食を共にした。