81年目を迎える日本球界で初の女性オーナーが誕生した。DeNAは16日、本社取締役で同社創業者の南場智子氏(52)の新オーナー就任を発表。11年の球団買収後から3年間、オーナーを務めた春田真氏が6月に同社取締役を退任することになり、シーズン途中でのオーナー交代を避けるため時期を前倒し、南場氏が就任する運びとなった。

 横浜市の球団事務所で会見に臨んだ新オーナーは、さっそく女性ならではの視点を球団運営に生かしていく意向を示した。「(試合観戦した)1日目に言ったことは『トイレをきれいにしてください』と。女性はそういったことに敏感。スタジアム側のご尽力もあり女性が遊びに来やすい環境になってきたと思う」と女性目線を発揮。ファン活動を含めた改善は今後も続けていく。

 さらに女性を魅了するような「格好良さ」をチームに求めた。「強くなることが第1歩。スポーツマン、チームの格好良さは、強さとリンクしている。強くなれば、さらに格好良くなると思う」とシンプルな表現で持論を展開。強いチームを構築するための戦力補強についても「野球の現場のことにはあまり口を出すつもりはない。GM、監督を尊重したい」としながらも「考え方としては補強は必要」と現場との協力態勢を確認した。

 新潟市で生まれ育った新オーナー。野球への興味を問われると「小さいときから枝豆を食べながら野球中継を見る常識で育っている。長嶋、王の大ファンでした」と明かした。気分転換にバッティングセンターに出掛けるというアクティブな一面を持つ、カリスマ女性経営者が球界に“参入”した。【為田聡史】

 ◆南場智子(なんば・ともこ)1962年(昭37)4月21日、新潟市生まれ。新潟高を経て津田塾大学芸学部英文学科を卒業。86年にマッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。88年に米ハーバード大経営大学院に入学し、90年に同大で経営学修士(MBA)を取得。96年にマッキンゼー・アンド・カンパニーの役員に就任。99年にDeNAを設立し代表取締役社長に就任した。03年に内閣IT戦略本部員、04年には規制改革民間開放推進会議委員に就任。11年に夫の看病のため社長を退任。13年に取締役として復帰した。