独立リーグの苦労人が、ついにNPBの扉をこじ開けた。楽天ドラフト5位の入野貴大投手(26=四国IL・徳島)は四国ILで7年過ごした。7年の間に独立リーグ内で移籍も経験。アルバイトや高知の実家にあるミカン畑を手伝いながら、上のレベルを目指し続けた。「給料が安くても、生活が苦しくても、野球にかけるしかなかった」と振り返る。昨季は同リーグで16勝3敗で最多勝。夢への切符を手に入れた。

 宝物は、思いの詰まった1球だ。入寮時に独立リーグ時代に最後に挙げたウイニングボールを持ち込んだ。「環境が変わっても、プロを目指してがむしゃらにやる気持ちを忘れないように」と力強く言った。設備や環境が整っていても、結果を出せなければ未来はない。これまでと変わらずに、はい上がる気持ちを出さないと生き残れないという覚悟だった。

 武器は最速150キロを超える速球。開幕1軍を目指して、15日の新人合同自主トレでは立ち投げで早速ブルペン入りした。「感覚を確かめるだけ」と焦る様子はないが、2月1日のキャンプに向けて順調に調整を行っている。「見られてナンボの世界。恥じないように行動しないと」とアピールを誓った。座右の銘は「慌てず焦らず諦めず」。つかんだプロの舞台で輝きを見せる。【島根純】

 ◆入野貴大(いりの・たかひろ)1988年(昭63)11月26日、高知・香南市生まれ。小4で「桜ケ丘スポーツ少年団」で野球を始める。岡豊(おこう)高の3年春から本格的に投手。プロ育成野球専門学院を経て、08年に四国IL・愛媛に入団。昨年、同リーグの徳島に移籍。趣味は温泉・銭湯めぐり。180センチ、78キロ。右投げ左打ち。契約金3000万円、年俸700万円。背番号50。