暴れぬ馬だ!

 中日のドラフト1位野村亮介投手(21=三菱日立パワーシステムズ横浜)が初ブルペンでコーチ陣をうならせた。20日、合同自主トレが行われたナゴヤ球場で、捕手を立たせて20球を投げた。

 捕手側から見守った佐藤チーフ投手コーチ、小笠原投手コーチが「中田賢一」の名前を口にした。背番号20の“先代”で現ソフトバンクの右腕だ。似ていたのは足を上げてからリリースまでの上半身の使い方。特にグラブを持つ左腕の巻き込みが似ている。

 大塚投手コーチが解説する。「左肩を開かず、壁を作れる(左手の)使い方。理にかなっている。だからいい投球ができるんでしょう。素晴らしい投げ方」と称賛した。中田は荒れ球が持ち味で当時の落合監督に「暴れ馬」と評されたが、野村はタイプが違う。自他ともに「特長」と認める制球力の良さをこの日も感じさせた。アマ時代から球が暴れることはない。

 昨年11月の21UW杯(台湾)以来のブルペンでも、きれいな球の回転で球は糸を引くように伸びた。野村は「キャッチボールからいい感覚で、やれていた。いい感じで投げられました。これならキャンプまでに捕手を座らせて投げられるな、と投げて思いました」と自分に合格点をつけた。

 2月1日のキャンプイン時には1軍全員がブルペン入りを義務づけられる。ブレーキをかけられるほど仕上がりのいい1位右腕に調整面の心配はない。いきなり実力の一端を見せた初ブルペン。野村が順調に第1歩を踏み出した。【柏原誠】