阪神福留孝介外野手(37)が20日、自主トレ先のハワイから帰国した。米大リーグから広島に復帰した黒田博樹投手(39)とは、実は通算打率3割3分。現役最強の「黒田キラー」だが、注目の対戦に一から研究し直すことを誓った。充実の補強で勢いのある同一リーグのライバル広島。猛虎にはマエケン、黒田とカープの両エースに強いこの男がいる。

 真っ黒に日焼けした顔がたくましかった。ハワイから帰国した福留は17年目となるシーズンへ向けて、充実ぶりを口にした。

 「走ることを中心にやってきた。膝の不安もなく、すぐにスイングを始められる状態です」

 昨年は夏場からの猛打でチームをCS制覇、日本シリーズ進出に導いた男は最初の準備を整えた。

 日本にいない間にセ・リーグの勢力図を揺るがす移籍劇があった。ヤンキース先発陣の柱だった黒田が広島に復帰した。中日の主砲福留は広島のエース黒田と何度も対戦。通算112打数で37安打を放った。対戦打率は3割3分。海の向こうでも10打数4安打と打った。だが、そんな現役最強の「黒田キラー」は過去のデータに反し、驚くほど慎重な対応だった。

 「(好相性は)気のせいじゃないですか?

 いいイメージか、悪いイメージかと言われれば、いいですけど、それは昔のこと」

 ともに08年に海を渡った。ドジャースで地位を築いた黒田はその後、名門ヤンキースで先発の柱にまでなった。その進化を知っているからこそ、過去の数字で楽観的になどなれないのだろう。開幕までに再び一から黒田対策に乗り出す。

 「技術も、体もバリバリの一線級の人が帰ってくるのは僕ら打者からしたら嫌なもの。特に広島に戻ってきたというのは嫌ですね。ただ、嫌だ、嫌だとも言っていられないので、攻略する方法を考えていかないといけない」

 広島は2年連続でCSで対戦している。優勝のためには絶対にたたかなくてはならない相手だ。福留は昨季、チームの天敵と言える前田を攻略した。相手の両輪となるマエケン、黒田をたたくことができれば…。福留と黒田との対決は第3章へ。相手に最大限のリスペクトを抱きながら牙を研ぐ。【鈴木忠平】