驚きのギアチェンジだ!

 阪神藤浪晋太郎投手(20)が27日、沖縄・宜野座球場で先乗り合同自主トレ初日に参加し、今年初めてブルペン入りした。いきなり捕手を座らせ、すべての持ち球となる変化球6種類も投球。3年目でもっとも遅い初ブルペンとなったが、キャンプインを前に抜群の仕上がりを見せつけた。

 曇り空の下、宜野座球場ブルペンの体感気温が一気に上がった。タイミングよく駆けつけた観衆十数人、報道陣は急展開に目を丸くした。周囲の熱視線を浴びながら、藤浪は当然のように両手のひらを下げた。受け手の梅野に「座ってくださいポーズ」を作った。

 「肩はしっかり作ってきたつもりなので。感覚の問題でどうしようかなと思ったけど、座ってもらいました。悪くなかったですね」

 15年初ブルペン。捕手を立たせて直球20球を投げた直後、そのまま座らせて36球を投じた。カーブ3球、スライダー3球、フォーク4球、チェンジアップ3球、ツーシーム2球、カットボール1球。早くもすべての球種を披露した。「まだまだ試すレベル。今日は傾斜に慣れること、余計な力を入れずに投げることだけを考えた」。冷静な言葉がウソに聞こえるほど、濃密な計56球となった。

 高卒1年目の13年は1月10日に初ブルペンを踏み、2月10日に初めて捕手を座らせた。14年は1月15日に初ブルペンを済ませ、同18日に初めて捕手を座らせた。ブルペン初日にいきなり捕手を座らせたのは今年が初めてだ。年明けは初めて広島前田、大瀬良らとの合同自主トレに参加。東京のジムを拠点に土台作りに専念した過程もあり、過去2年より遅い初ブルペンとなったが、不安説浮上すら許さない抜群の仕上がりを見せつけた。

 「体が横振りにならないように、悪いシュート回転というか、弱いボールにならないように投げた。それに関しては良かったと思う。(体の)バランスも良かった。昨年、一昨年より、しょっぱなとしてはいいかなと思います」

 「軽く投げたらストライクが行く」と控えめに振り返った直球は力強く正確でもあった。梅野の「(体感速度は)150キロいくかいかないか」という表現もうなずける。今後は前田から学んだ「脱力投法」をより意識し、侍ジャパンで金子から教わったチェンジアップ、前田から教わったツーシームも試投しながら状態を上げていく。例年より調整登板機会の増加を視野に入れる今春。まだ死角は見つからない。【佐井陽介】<藤浪過去2年の沖縄合同自主トレ初日VTR>

 ◆13年1月28日

 ブルペンで41球を投げた。宜野座ドームでプロ入り後、公の前でティー打撃も披露。「沖縄は暖かいので動きやすい。ブルペンでの最後の1球は満足の本気投げでした」。

 ◆14年1月27日

 鳴尾浜で5度ブルペン入りしていたために沖縄初日はランニング、ウエート、打撃練習で独自調整。「自主トレ中なので(ペースを)上げすぎないようにしたい。沖縄は暖かいけど体を動かしすぎると怪我にもつながるので」と抑え気味だった。