このまま開幕1軍のゴールテープを切る。広島ドラフト6位の飯田哲矢投手(23=JR東日本)が11日、紅白戦に初登板した。1軍経験のある田中や小窪を打ち取るなど、打者4人に1安打無失点。中継ぎ陣に離脱者が相次ぐキャンプで、新人左腕の存在感が増すばかりだ。

 新人飯田が、中継ぎ左腕のサバイバルレースで大きくリードをとった。5日のフリー打撃、8日のシート打撃に続き紅白戦でも好投。評価は高まるばかりだ。

 「追い込んでから使おうと思っていた」と、決め球のチェンジアップは披露する必要すらなかった。1死から菊池に甘い直球を中前にはじき返されたが、打者4人に対してストレートとカットボールのみ。わずか10球で料理した。先頭のドラフト1位野間峻祥外野手(22=中部学院大)を直球で三ゴロに打ち取ると、1死一塁からは社会人の先輩田中を二ゴロ。小窪はカットボールで二飛に打ち取った。「1人ひとり大事に打ち取った。結果抑えられて良かった」。紅白戦初登板の好結果に、安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 小窪は「後ろが小さくて、出どころが見えづらい」と認める。視察した中日の善村一仁スコアラーも「左の中継ぎでは今のところ抜き出ているんじゃないか」と警戒を高めた。

 中継ぎ候補の新外国人マイク・ザガースキー投手(32=ブルージェイズ3A)と中田が相次いで離脱した。畝投手コーチは第3クールに行われる紅白戦に、2軍から今村、中村恭、江草、池ノ内の4投手をテストすることを明言した。特に中継ぎ左腕は重要課題。キャンプ前に篠田が1軍キャンプから外れ、第1クールにザガースキーが離脱。10日の紅白戦に登板した戸田も不安の残る投球内容だった。

 出遅れるライバルと対照的に、飯田は順調に滑り出した。緒方監督も大きな期待を寄せる。「けん制などいろんなことができるので、経験と場数を踏んでいると感じさせる。左の中継ぎは外国人投手が出遅れているから、絶対に出てきて欲しい投手。これからもどんどん投げさせていきたい。十分チャンスはある」。

 明日13日から1次キャンプ最終クール。17日の沖縄から開幕1軍をかけた生き残りレースは本格化する。「これからも結果を積み重ねていきたい」。1歩1歩着実に歩みを進め、このままゴールテープを切るつもりだ。【前原淳】