松井裕よ、守護神となれ!

 楽天大久保博元監督(48)が12日、松井裕樹投手(19)を先発から抑えへと転向させる意向を明らかにした。沖縄・久米島キャンプ最終日に行われた紅白戦で、松井裕が8回から登板。2回1安打2奪三振の左腕に対し、大久保監督は試合後、ミコライオ、青山とともに抑え争いさせると明言した。松井裕もビックリの配置転換が、デーブ流改革の目玉になりそうだ。

 今季初実戦での登場回がメッセージだった。8回。松井裕は足跡がたくさんついたマウンドへと上がった。いつもならば、まっさらな先発マウンド。「年功序列の登板順と思っていました」としか受け止めていなかった。しかし、大久保監督の真意は違った。「松井が、勝つには必要な投手になってきている。8回、あの場所で投げてもらったのは意思表示。先発して中6日いないことよりも『お前が毎日いてくれないと困る』という気持ちも込めた」。事実上の抑え転向通知だった。

 日本一奪還へ、楽天版の「JFK」を作る。目指すは05年阪神の藤川-ウィリアムス-久保田という勝利の方程式。盤石の救援陣がいれば、常勝軍団に近づくことができる。「JFKの時代の阪神と戦ったことがあるけど、(印象として)6回しか野球がない。セだと投手が3回打席に立つから、そのうちの3回は点が入らない。3イニングしか点を入れられないような野球をしたい」と説明した。

 先発以上に中継ぎ陣を固定したい。これまで青山、広島から加入したミコライオが守護神選考の中心だった。そこに松井裕、西宮、福山を加え、終盤のリリーバーを決めるとした。「松井の散り球から、青山のフォークが効くかもしれない。俺が打撃コーチだったら嫌だなという組み合わせを考える」と抑え決定に向け、今後さまざまな継投を試すことを示唆した。

 昨年松井裕は2軍降格後、中継ぎとして復活を果たした。最速150キロの直球とスライダー、タイミングを外すチェンジアップ。空振りを取れる球種があり、被本塁打が少ないことで、抑えの適性は証明されている。この日の紅白戦では落差のある新球スプリットを披露。打者伊東には129キロの1球で空振り三振を奪った。「中6日で松井が行くのはもったいない。それだけの投手に1年でなった」と期待を寄せた。

 報道陣から伝え聞いた松井裕は驚きの表情を浮かべ「チームの力になれるところならばどこでも投げる。ただ自分は先発するつもりで今年の目標を掲げている」と話した。オープン戦での先発登板も予定されているが、配置転換は濃厚。2年目左腕を含めた、守護神争いの火ぶたが切って落とされた。【島根純】