「人気料」抜きの純粋査定だった。今季、球界の話題をさらった日本ハムのルーキー斎藤佑樹投手(23)が28日、札幌市内の球団事務所で初めての契約更改交渉に臨み、今季年俸の2倍となる1500万円増の3000万円(金額は推定)で一発サインした。昨年12月の入団発表以来、注目を浴び続けながらも6勝6敗。先発ローテーションの一員としての成績を評価され、納得の“満点更改”で、ルーキーイヤーを締めくくった。

 最高気温9・6度。すっかり冬の冷気が漂う中、斎藤の周りだけが春色だった。ライトグレーのスーツに、青とエメラルドグリーンのストライプが鮮やかなネクタイを締めて球団事務所に現れると、約30分ほどで人生初の契約更改交渉を終えた。「初めてだったので分からないことはありましたけど、無事にサインはしました。高い評価をしていただいた。また、来年、一生懸命に頑張りたいという気持ちになりました」と、交渉のテーブルを振り返った。

 1つ1つ言葉を選びながらの記者会見。表情がようやくほぐれたのは、具体的な金額に話が及んだ時だった。「たくさん(金額が)上がりましたか?」という質問に「たくさんって、どれくらいですか?

 2倍くらい?

 そうですね。僕ウソはつかないです」と、スマイルがはじけた。

 厳格な査定方法で知られる日本ハム。斎藤にとっては今季の成績が明確な数字で示される、待ちに待った日だった。人気面が注目されがちだが、島田球団代表は「(集客効果などを)数値化するのは難しい。うちは、あくまで野球会社。勝ち星も含めて、投手としてトータルで評価しています」と“人気査定”を全面否定した。

 5月下旬に左脇腹を痛めた影響で規定投球回数に37回届かなかったが、6勝6敗で防御率2・69。何より、約50日の離脱がありながら、19試合という登板数が目を引く。先発ローテーションに食い込んだ新人右腕に、島田球団代表は「よくやってくれた。新人王候補に近い数字は挙げている」と言えば、斎藤は「球団のためにも自分のためにも頑張りたいと思った」と発奮した。

 今や5億円プレーヤーになった球界のエース、ダルビッシュも、1年目は5勝5敗、防御率3・53をマークした。初の契約更改は1500万円増の年俸3000万円でサインしている。単純比較はできないが、くしくも年俸面では似たようなスタートを切った。「今の自分の実力を受け止めて、来年は今年以上の結果を残したい。まずは開幕1軍に向かって取り組んでいくべきかなと思います」と意気込みを口にした。

 ルーキーイヤーは、終了。増額分だけ期待が込められている2年目へ、すでに勝負は始まっている。【中島宙恵】