<東京6大学野球:慶大7-1東大>◇第4週2日目◇1日◇神宮

 慶大が12安打で東大に快勝、勝ち点3で首位をキープした。今秋ドラフト1位候補、4番で主将の伊藤隼太外野手(4年=中京大中京)は1回裏1死一、三塁の好機で歩かされるなど2敬遠の中、3打数2安打1打点。今季打率を5割2分2厘とした。昨秋立大戦以来2度目の先発となった白村明弘投手(2年=慶応)は7回1失点で今季2勝目。早大は7回に5安打で一挙4点を奪い立大に4-2と逆転勝ちした。

 これも強打者の証明か。1回裏1死一、三塁。伊藤が打席に入ると、東大捕手の田中が立ち上がった。今季第1打席で5打数4安打3本塁打の男を前に、東大バッテリーは敬遠策を取った。伊藤は表情ひとつ変えず、大きく外された4球のボールを見送った。さらに6回の第4打席。1死三塁から、再び伊藤は歩かされた。スタンドは、どよめきと怒声が入り交じった。

 東大・御手洗健治監督(60)は「昨日(4月30日の1回戦)も、彼にやられた。良いバッターですよ。警戒していきました」とピンチ拡大は覚悟の上だった。結果的に伊藤を歩かせた回は、後続を打ち取り無失点。東大の決死の策は成功した。

 1回の敬遠に、伊藤は「ビックリしましたね」と苦笑いした。そんな過剰な警戒の中でも「一撃必殺」の打撃は変わらない。配球に工夫をこらす相手も何のその。わずか3スイングで2安打だ。先頭打者の3回は107キロの変化球を中前に落とした。4回2死走者なしの第3打席は二ゴロに倒れたが、8回1死一、二塁での第5打席では99キロのカーブをとらえ右翼線二塁打。今季13打点目を挙げた。これで23打数12安打とし、前日までの5割から打率を上昇させた。「(二塁打は)先っぽです。運もいいけど、集中を切らさず打席に立てた」と胸を張った。

 江藤省三監督(69)は「あれだけ怖がられるとはね」と話しながら「(5、6番は)気持ちが弱いね」と敬遠後、得点に結びつかなかったことを危ぶんでいた。次戦は14日の明大戦。野村祐輔投手(4年=広陵)を中心に、厳しい攻めが予想される。伊藤は「個人的な対戦よりチームが勝つためにやりたい。明治戦はチャンスはそうこない。取れるところで点を取らないと」と気を引き締めた。【清水智彦】