<東都大学野球:中大1-0亜大>◇第6週2日目◇13日◇神宮

 中大・島袋洋奨投手(1年=興南)が「沖縄の優勝投手対決」を制し、大学初勝利を挙げた。亜大・東浜巨(なお)投手(3年=沖縄尚学)と投げ合い、9回を被安打5、12三振を奪う完封勝利だった。開幕から5度目となる先発でやっと初勝利をつかみ、勝敗を1勝1敗とした。

 島袋には、5戦目でやっとつかんだ初勝利だった。「簡単には勝たせてくれないです」。完封目前の9回1死から連打を浴び一、二塁。高橋善正監督(67)が慌ててマウンドに駆け寄った。「今日は勝ち負けがつくまで代えんから、最後まで思い切って行け」。142キロでまず三振、最後の打者も142キロで3球三振。監督出馬のゲキを受け、速球勝負に出て逃げ切った。

 島袋は「また追いつかれるんじゃという気がして。(気持ちを)切りかえました」。国学院大戦は9回2死から2失点の逆転負け。東洋大戦はプロ注目の藤岡と対決し、同点ソロ本塁打を浴びて9回で降板した。「藤岡さんと投げ合って、自信になりました」。

 東浜は08年センバツの優勝投手。昨年春夏を制した島袋の2年前に沖縄に紫紺の大旗を運んだ。同年夏、沖縄大会の準決勝で対戦し1-3で負けた相手でもあった。「走者を置いての投球などまだ及ばない。もっとレベルアップしていきたい」と先輩をたたえた。

 島袋は開幕投手こそ任されたものの、投げ込み不足を自覚していた。シーズン当初は1日100球が投げられない。それが第1週の駒大戦を終えてから投球数をこなせるようになった。160球を超えた。雨で中止になった前日12日も、76球を投げこの日に備えた。

 もっとも、前半は速球が走らず、3回まで140キロを超えた球は1球もなかった。変化球を低めに集めて耐えた。それが最終回の速球を生かすことになった。「まだ1勝。たまたま勝てた。先のことは意識できません」。この日の128球を加えて勝利まで計540球を要した。記念のボールを手にしても、島袋が喜びを爆発させることはなかった。【米谷輝昭】