<首都大学野球:東海大2-1筑波大>◇第2週初日◇17日◇等々力

 10月のドラフト会議で1位指名が確実な157キロ右腕、東海大・菅野智之投手(4年=東海大相模)が、今季初戦でリーグ史上5位の通算33勝目を挙げた。リーグタイ記録の通算13完封はならなかったが、無四球で1失点完投。打たせて取る投球で奪三振は3つにとどまるも、通算で300奪三振に到達した。チームは筑波大に先勝した。

 ドラフト前最後のシーズンを迎えた157キロ右腕が、積み上げた三振を300の大台に乗せた。7回2死目。菅野は筑波大・平井を1ボール2ストライクに追い込み、外角高め146キロの直球で空振り。「取りたいときに三振を取る。今後もこだわりを持ってやっていきたい」と笑った。

 もっとも、この日は内野ゴロ16個の“打ち取る”投球だった。自己最速に9キロ満たない148キロが最速。8月の日米大学選手権の疲労が残るのと、筑波大の左打者がベース寄りに立って粘り「三振狙いは球数が増える」と考えたからだった。3Kは11年の自己最少。それでも1年春から294回2/3で300Kと、奪三振数がイニング数を上回る。

 ネット裏ではドラフト1位指名を公言する巨人など7球団のスカウトが見つめた。通算33勝は、OBの巨人久保に並んでリーグ5位だ。同リーグの正確な記録は残っていないが、東京6大学リーグでは30勝300奪三振の両方をクリアしたのは過去6人。4年間チームを支えた一流選手の象徴で「入学当初はそんなに伸ばせると思わなかった。今季は監督や両親、チームメートに感謝の気持ちで投げたい」としみじみ話した。

 喜びの一方で、届かなかった記録もある。9回に連打で無死一、三塁のピンチを招き、併殺に打ち取るも三塁走者が生還。リーグタイ記録の通算13完封とはいかなかった。「中盤から変化球を増やしていたので、最後に直球でいこうと思ってもギアが入らなかった。試合前から意識したし、正直悔しい」。素直な負けず嫌いさが、菅野をより強くする。【鎌田良美】