<東京6大学野球:明大3-2法大>◇第2週3日目◇19日◇神宮

 明大が法大を破り、勝ち点を2とした。今秋ドラフト1位候補のエース野村祐輔投手(4年=広陵)は8安打を浴びながら、要所を締める投球で2失点の完投。10三振を奪って通算329とし、早大・斎藤佑樹投手(現日本ハム)の323三振を超えた。勝利数は今季3勝目で通算27勝とした。法大は7回に1度は追いついたものの、救援投手が踏ん張れなかった。

 奪った三振はすべて空振りだった。野村は9回1死後、法大の代打木下を134キロのカットボールで仕留めて計10三振とした。ところが、笑みは浮かばない。「4年間やってきてこんなに悪いのは初めて、というぐらいの状態でした」。

 速球が走らない。最速は144キロ止まり。緩急を使い、低めに集めた。「自分のできることに集中しました」。幸い制球力はいつも通り。走らない内角速球をみせ、変化球で打ち取る投球で斎藤を超えた。「そうですか。去年まで一緒の先輩でプロでもローテーションに入ってやっている。そういう投手に勝って、この記録が残るとしたらうれしい」と話した。

 17日の1回戦では、5点リードの6回に5安打を集中され6点を失った。「自分に対してガッカリした」と振り返る。この日も6回1死後に4連打された。1点を失い、なおも満塁。ここで一呼吸おき、併殺打で切り抜けた。「このままじゃ勝てる投球はできない。どうにか変わろうと臨みました」。そんな強い気持ちがピンチを断ちきった。

 斎藤との比較で目立つのが制球力だ。斎藤が61試合で四死球109に対し、60試合の野村は64。悪いなりの投球ができる。1位指名を公言する広島苑田スカウト部長も「球は来てなかった。でもカバーする頭がある」と話した。野村は「走らないストレートを生かすことができた。春からの成長だと思います」。野村が今までにはなかった収穫を得た。【米谷輝昭】