仙台大の松本桃太郎三塁手(北海道・北海)が打撃3冠とMVP(最優秀選手賞)に輝いた。1年生選手の3冠はリーグ史上初めて。チームは今季3位にとどまったが、優勝チーム以外からのMVP受賞は29年ぶり2人目で、仙台大では33年ぶり3人目の快挙になった。ほかに1年生では、今季リーグ最多の5勝を挙げた東北福祉大の城間竜兵投手(青森・光星学院=八戸学院光星)が最優秀新人賞を獲得した。

 仙台大の若武者、桃太郎が「イヌ、サル、キジ」ならぬ「打率(4割7分7厘)、打点(17点)、本塁打(3本)」の打撃3冠でMVPを獲得した。“4冠”達成は02年秋の東北福祉大・塩川達也(30=現楽天ベースボールスクール・ジュニアコーチ)以来11年ぶり2人目。発足43年目のリーグ史上、1年生では初めての快挙になった。ベストナインと特別賞のオマケもつけた松本は「先輩たちがチャンスを作ってくれて、自由に打たせてもらったおかげです」と感謝した。

 先発唯一の1年生。リーグデビューの今春は打率2割2分7厘。「結果にこだわりすぎて力みがあった」と反省する。春の3番から2番になった今秋は、「どんな状況でも冷静に」と帽子のひさしの裏に書き込んだ。チーム開幕戦(9月7日=東北工大戦)ではグランドスラムも達成。「夏に社会人とも練習試合をして木製バットやリーグの雰囲気にも慣れました」と開眼した。

 高校時代から重めの木製バットで練習。思い切りの良さに加え、「コンパクトにフルスイング」が身上だ。開幕前の「大学4年間で全部のタイトルを取りたい」の目標を、早くも実現させた。来季目標は「神宮に行きたい」。桃太郎が「鬼ケ島」ならぬ「リーグ」制覇に乗り出す。【佐々木雄高】

 ◆松本桃太郎(まつもと・ももたろう)1994年(平6)11月11日、北海道岩見沢市生まれ。岩見沢中央小3年から岩見沢CSBで野球を始める。岩見沢光陵中では札幌新琴似シニアに所属。同3年時は三塁手で全国準優勝。北海では1年秋からベンチ入り。甲子園には一塁手で2年春夏(11年)連続出場し、春8強。家族は両親、兄、妹、弟。右投げ左打ち。175センチ、67キロ。血液型A。