九州共立大は9日、仲里清監督(59)が、今春限りで勇退することを発表した。79年に監督に就任。福岡6大学リーグで春秋合わせ36回優勝。99年秋の明治神宮大会では全国制覇している。広島へドラフト1位で入団した大瀬良大地投手やソフトバンク新垣渚投手など数多くのプロを育てた。勇退後は幅広く野球を勉強する予定だ。今日10日に会見を行う。

 名将が還暦を前に勇退を決断した。九州共立大の仲里監督がこの春限りで監督を退く。後任は上原忠チーフコーチ(46)が内部昇格する。

 8日に部員120人を学校内の教室に集め監督を退くことを伝えた。誰よりも先に選手たちに知らせたかった。「サヨナラじゃない。人生死ぬまで勉強。勉強して、またお前らの前に現れるから」と明るく笑った。

 34年間、九州共立大の指揮を執ってきた。ソフトバンク新垣、広島大瀬良、オリックス馬原ら輩出したプロは2桁を数える。そんな名将の地位を自ら外す。8月に還暦を迎える前に、新たなチャレンジをするつもりだ。

 今まであまり見に行く機会がなかった社会人野球や高校野球を見るという。「僕が知らない野球がまだまだいっぱいある。メンタルもフィジカルもコーチ業も組織論も」。いろんな学校へ直接出向いて学ぶ。豊見城高時代の恩師、栽弘義監督(享年65)が中京大時代にさまざまな野球を直に学んだ「旅人」生活を行う。現在、スポーツ学部部長を務める教授として教壇に立ち続けながら、野球を学び、九州共立大へフィードバックする。

 まだ春の神宮優勝は経験がない。金子聖史主将(3年=飯塚)は「監督に最後、何がなんでも神宮の土を踏んでもらいたい。春優勝して気持ちよく勇退してもらいたいです」と決意を新たにする。仲里監督は「(監督人生の)第4コーナーを回った、最後のムチを入れるよ」と有終の美となるVへ突き進む。

 ◆仲里清(なかざと・きよし)1954年(昭和29)8月8日、沖縄県佐敷町(現南城市)生まれ。豊見城から中京大へ。学生コーチを務め、卒業後の77年、九州共立大で野球部コーチに。79年監督に就任した。