<仙台6大学野球:仙台大7-0宮城教育大>◇第1節最終日◇1日◇東北福祉大

 仙台大の163センチ左腕野口亮太(4年=前橋商)が、リーグ通算23勝目を挙げた。宮城教育大を8回4安打完封。三塁を踏ませない安定した投球で、西武岸孝之(29=東北学院大出)らに並ぶ歴代13位となった。春秋連覇を目指すチームに連勝の勝ち点1をもたらし、ラストシーズンでさらなる勝ち星の上積みを狙う。

 仙台大の小さな左腕野口がまた1つ、大きな白星を積み重ねた。勝ちたい思いから気がはやり、初回にヒットと四球で1死一、二塁のピンチを背負ったが、後続を断った。2回以降は「前に(体が)突っ込まないように」と、ゆったりとしたフォームを意識。投球の約8割を占めたストレートを丁寧に内外角に散らし、三塁を踏ませないまま完封した。森本吉謙監督(39)も「安心感があった。パッと修正できるのが野口」とたたえた。

 1年春から毎シーズン勝ち星を挙げ、これで23勝目。西武岸、元ロッテの長島哲郎氏(現楽天スカウト、東北福祉大出)に並んだ。それでも野口は「うれしいけど納得はしていません」と浮かれない。「もっと腕を振れるように。今季は長くなるので、数字より、自分のピッチングをしたい」と前を向く。春は67季ぶりのリーグ制覇で大学選手権に出場。「もう1度全国に出たい」と、今季は神宮大会出場を目標に据える。

 春季MVPで大学日本代表の152キロ右腕熊原健人(3年=柴田)の存在が刺激になる。リーグ開幕戦の先発を譲ったが「悔しいけど、変なプライドはない。チームが勝つことを考えれば」と認めている。「頼ってばっかりだったけど、あいつもいつも調子がいいわけではない。悪い時にカバーできれば」と、後輩エースを支える思いが強い。

 来春の社会人チーム入りも決まり、卒業単位も取り終えた。「あとは野球だけです」と、最後のシーズンに全てをかける。なかなか勝てなかった東北福祉大、東北学院大を抑え込み、連覇に貢献したい。「いい時間にしたいです」。集大成のピッチングで全国舞台を目指す。【高場泉穂】

 ◆野口亮太(のぐち・りょうた)1992年(平4年)12月24日、前橋市生まれ。小1から大渡ヴィガーズで野球を始める。前橋商では2年春、3年夏と2度甲子園出場。仙台大では1年春からリーグ戦に登板。163センチ、60キロ。左投げ左打ち。家族は母、兄、姉。血液型O。