<仙台6大学野球:仙台大1-0東北学院大>◇最終節第1日◇11日◇東北福祉大野球場

 仙台大の右腕エース熊原健人(3年=柴田)がリーグ史上13人目、17度目のノーヒットノーランを達成した。東北学院大打線に3四死球を与えただけで、6回にもらった1点を守り切った。大学日本代表にも選ばれた来秋のドラフト候補は、今春にはリーグ記録に並ぶ19奪三振をマーク。この秋もまた1つ快挙を成し遂げた。

 ノーヒットノーランを達成しても仙台大・熊原は淡々と試合後の整列に加わった。「相手の気持ちも考えて。心の中でガッツポーズでした。丁寧に投げた結果だと思う」。3回に四球、5回に2死球を与えただけの130球10奪三振。8月31日の宮城教育大との開幕戦完封以来の今季2勝目は、自分らしさを取り戻した内容だった。

 大学日本代表として参加した7月のハーレム国際大会(オランダ)で、外国人打者にフォークなどの変化球が決まった。その精度を高める意識が強くなり、この秋は最速152キロを誇る速球が「春に比べて球威も落ち、コントロールも甘くなった」(熊原)。9月27日の東北福祉大1回戦でも制球が狂って逆転打を浴び、結果的に優勝を左右する一戦となった。変化球は速球が生きてこそと気づき、体の切れを生む短距離ダッシュなどを増やし、もう1度自分を見つめ直した。

 この日、最速147キロを計測した。「速球中心の投球が今日はできた」と胸を張る。快挙をリードした捕手の坂東太陸(4年=恵庭南)は「後半はストレートがコースに決まった」と制球力を評価した。内外角の低めに球威のある速球が決まれば、スライダーやフォークが効果的になる。7回以降の3イニングで5三振を奪った。

 優勝は東北福祉大に奪われたが、既に3位以内が確定して明治神宮大会東北地区代表決定戦(25日~、岩手・花巻)に出場する。優勝まで3日で4試合の過酷な戦い。「チャンスはある。もう1度神宮へ」。6月の全日本大学選手権に続く大舞台へ、ノーヒットノーランで熊原が自信を再び手に入れた。【久野朗】