妻子のために頑張ります-。中日は12日、名古屋市内で新人9選手の入団発表を行った。ドラフト5位・大島洋平外野手(24=日本生命)が妻真世さん(21)と今年生まれたばかりの長男慶士くんらとともに出席。異色の子持ちルーキーは「開幕1軍。1日でも早くレギュラーをとれるように頑張りたい」と気合十分。家族のために開幕1軍をもぎ取ることを目標に上げた。

 家族が見守る入団会見の壇上で大島は、はっきりとした目標を掲げた。「小さいころからあこがれていた球団に入団できてうれしい。開幕1軍で出場できるように頑張りたい。できるだけ早くレギュラーをとりたい。将来は立浪さんのように40歳まで野球を続けたい」。ほかの選手が「できるだけ早く1軍に昇格したい」と話すなか、大島だけは明確な目標を口にした。

 1日でも早く1軍で暴れたい。大島にそう思わせる理由がある。今年3月に結婚した真世さんとの間に長男慶士くんを授かったのは6月21日。「計画性がない、と怒られました」と苦笑いする大島だが、安定した社会人生活を捨て、プロの世界へ飛び込むことは子持ちの大島には簡単な決断ではなかった。それでも「おめでとう」と喜んでくれた妻に最後は後押しされた。

 家探しをしながらトレーニングを続ける。本来ならルーキーは来年1月から独身寮の「昇竜館」で暮らすが、大島は名古屋市内でマンションを探し、年明けには引っ越しをする考えだ。大島は「今のうちから1年を通して戦える体をつくる。年内は日本生命、年明けは(母校の)享栄でやります」。新居探しの間も5勤1休のペースを守り、練習を続けるという。

 会見中には慶士くんが泣きだす場面もあった。だが、落合監督と家族との記念撮影ではピタリと泣きやみ写真に納まった。落合監督からはすりすりと頭をなでられた。会見後、大島は「ずっと(慶士くんが)心配で見ていました」と父親の顔に戻ったが、野球の話しになると「家族があるんで自分がダメになったら、みんながダメになる」と表情を引き締めた。竜の子連れルーキーは、俊足強肩を売りに開幕1軍を目指す。愛する家族を幸せにするために-。【桝井聡】