今秋のドラフトで上位指名が有力な左腕にとって思わぬスタートとなった。京滋大学野球リーグ、仏教大のエース大野雄大(4年=京都外大西)は肩の張りで開幕から登板機会がない。菊野義朗監督は「エースとして最後を全うしてほしいが、プロを見据えてというのもある。難しい」と複雑な心境を口にした。

 6月の全日本大学選手権後、7月にハーレム国際大会で登板したことなどもあり、疲労が蓄積したようだ。十分な休養を取らずに夏場に投げ続けた影響で、8月下旬のリーグ戦開幕の1週間前になって肩の張りが悪化した。練習から満足に投げられず開幕投手を断念した左腕は「(大学)最後に投げられないなんて。何してんだろと思った」と自らを責めた。

 それでも大黒柱を欠いたことで他選手の意識が変わったという。菊野監督は「責任感が足りなかったチームが今ではおれがやらなあかんと思うようになっている」と手応えを語る。エースも「ゆっくりでええやろとチームメートが言ってくれた。焦りはもうない」と、じっくり調整することを決めた。

 ブルペンで投球を開始し、回復は順調だ。9月下旬の試合に向けて調整を進めている。「大学野球が終わったときに絶対、泣くと思う。意味のある涙を流すように頑張っている」。うれし涙で締めくくれるように、左腕は残りの試合にすべてをぶつける覚悟だ。(共同)