大器がデビュー戦を鮮やかに飾った。東京6大学野球秋季リーグで慶大1年生の白村明弘が東大1回戦の8回から救援で初登板。打者6人に対し、無安打で5三振を奪った。

 最速150キロの直球でぐいぐい押した。空振りさせたチェンジアップも140キロを計測するなど圧巻の投球。「2ストライクになったら三振を狙った。こんなにいいデビューをする予定じゃなかったのに」と白い歯をのぞかせた。

 岐阜県出身。187センチ、80キロと恵まれた体格の本格派右腕で、打者としても流し打ちのセンスが光る。神奈川・慶応高で昨春の甲子園大会のマウンドに立ち、ドラフト上位候補にも挙げられた。しかし、大学に入学してすぐに右肩を痛め、春のリーグ戦は出番なし。チームの優勝パレードでは清掃要員だった。「ずっとごみ拾い。あれがモチベーションになった」。

 春季リーグ戦後の新人戦で自己最速153キロをマークするなど巻き返しが始まった。夏場は課題だった制球を強化し、球種を増やそうとチェンジアップを磨いた。社会人チームを相手にしたオープン戦でも好投。自信を胸に秋を迎えた。

 今後も登板機会は増えそうだ。「真っすぐには手応えを感じている。今後の目標としては、まず1勝。球速は155キロを出したい」と大きな目を見開いた。(共同)