<東京6大学野球:早大7-0東大>◇第4週最終日◇4日◇神宮

 早大・斎藤佑樹投手(4年=早実)が4安打7奪三振完封で東大にリベンジを果たし、リーグ史上6人目の30勝&300奪三振を達成した。2日の1回戦は7連勝中だった相手に初黒星を喫したが、中1日で修正。完封は08年秋の法大3回戦以来で、通算30勝は史上21人目になる。勝ち点3として、4季ぶりの優勝へ首位を守った。

 斎藤が三塁コーチの制止を振り切って走った。0-0の5回2死満塁、2番市丸の左越え二塁打で一塁からホームに滑り込んだ。タッチアウトだったが「キャプテンだし、1点でも多く取りたかった。最初から激走でした」。右のお尻とヒザを赤土で汚しながら、122球を投げ抜いた。高校球児のように、打って、走って、投げて、節目の勝利に到達した。

 9回は早実でともに日本一に輝いた白川英聖捕手(4年)と今季初バッテリーを組んだ。早実の主将、後藤貴司内野手(4年)が守備に就いた。「高校3年からいろいろとあって、今日30勝に到達できた」。卒業後に野球を続ける日本一メンバーは斎藤と社会人に進む後藤だけ。白川は三菱商事の内定式を欠席して出場した。懐かしい空気が、勝利を祝福していた。

 2日の1回戦はまさかの黒星を喫した。入学時の目標は「48勝」と、6大学記録を目指した。4年秋の30勝到達に「もっとできた思いもある」と言った。負けて苦しみ、考え、理想のフォームを追い求めた。「良くなるためには何も怖いことはない」と、今でも「変化」に挑み続けている。

 プロ志望届は近日中に提出する見込み。手元に残るウイニングボールは0で、野球の記念品は甲子園の土ぐらい。節目のボールは「明日はオフなので、明後日の練習で使います」とこだわらない。自分を花に例えると、の質問には「ひまわり」と答えた。月見草じゃない。斎藤にはやっぱり笑顔がよく似合う。【前田祐輔】