プロ野球ドラフト会議が28日、都内のホテルで開催され、4球団が競合した早大・斎藤佑樹投手(4年=早実)の交渉権を日本ハムが獲得した。

 61歳、還暦過ぎの球団トップが跳び上がった。日本ハム藤井純一球団社長は直感を信じた。4球団の競合でクジを引く順番は2番目。残り3枚から「真ん中にしよう」と右腕で引き抜いたのが、大当たりだった。ほか3監督が先に開封し、がっくり顔が並んだ。手間取りながら確認。梨田監督らがじっと結果を待っていた球団席へ半回転ジャンプしながら振り向いた。「いやぁ、すごい選手が来てくれる」と舞い上がった。

 ミラクル再現だった。ちょうど3年前の07年の高校生ドラフト。同じく4球団が競合の中田を射止めたゴッドハンドがさく裂した。監督以外が抽選に臨んだのは、ただ1人。昨年の西武雄星を含め、過去の抽選で5戦5敗の梨田監督ではなく知名度は低いが、球団幹部の多数決で指名された。

 持病を抱えたままで激務を続けていた最近は体の状態が悪く、やや元気を失っていた。そんな時に、念願の交渉権獲得の吉報をつかんだ。周囲から体調を憂慮され、本年度限りで社長職を退く可能性が濃厚。大物候補に2戦2勝。希代の強運で一世一代、「最後の大仕事」を遂げた。